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COLUMN

2025.03.17M&A全般

日本の中小企業における事業承継とM&Aの現状と課題 ~持続可能な経営のための鍵となる戦略~

  • M&A

執筆者:株式会社日税経営情報センター シニアマネージャー



日本の中小企業は、経済の基盤として重要な役割を果たしています。しかし、近年、このセクターが直面している大きな課題の一つが事業承継の問題です。多くの中小企業経営者が高齢化する一方で、後継者不足が深刻化しており、事業の継続が危ぶまれるケースが増えています。これに対応するための手段として、事業承継とM&A(合併・買収)の活用が注目されています。

事業承継の現状
日本の中小企業の多くは、家族経営であり、経営権の継承は親から子への承継が一般的でした。しかし、近年では少子高齢化の影響もあり、後継者がいない、または事業を継ぎたいと思う子供がいないケースが増加しています。中小企業庁の調査によると、経営者の約6割が60歳以上であり、今後10年間で約245万社が事業承継を必要とするとされています。
事業承継には、親族内承継、従業員承継、外部承継の3つの主な方法があります。親族内承継は依然として主流であるものの、後継者不足の問題から従業員や外部の第三者に経営権を委譲するケースが増えています。特に、外部承継については、M&Aを活用する企業が増えてきています。

M&Aの活用
M&Aは、事業承継の手段として有効です。企業の価値を高め、競争力を維持するための重要な手段として評価されています。中小企業におけるM&Aのメリットは、承継問題の解消だけでなく、資本力や経営ノウハウの獲得、新市場の開拓など多岐にわたります。
日本における中小企業のM&A件数は年々増加しており、特に地方においては事業継続の手段として積極的に取り組まれています。経済産業省の統計によれば、2020年の中小企業のM&A案件は過去最多を記録しており、その数は2000件を超えています。

M&Aのプロセス
M&Aのプロセスは複雑で、多くのステップを経る必要があります。まず、売り手と買い手のマッチングが重要です。これは、M&A仲介業者や専門のアドバイザーによってサポートされております。マッチングが成功した後、デューデリジェンスと呼ばれる企業の詳細な調査が行われます。これにより、企業の財務状態や事業内容、契約状況などが精査されます。次に、価格交渉や契約締結が行われ、最終的に経営権が移転されます。

今後の課題と展望
中小企業の事業承継とM&Aにおいては、まだまだ多くの課題が残されています。特に、経営者の意識改革が求められます。多くの経営者は、事業承継やM&Aに対する知識や理解が不足しており、適切なタイミングでの対応が遅れることが多いです。
また、M&Aにおいては、適正な企業評価や公正な取引を確保するための制度整備が必要です。これには、専門のアドバイザーの育成や、中小企業向けのM&A支援機関の充実が含まれます。
さらに、デジタル技術の活用も今後の重要なテーマです。オンラインプラットフォームを活用したM&Aのマッチングや、リモートでのデューデリジェンスが注目されています。これにより、場所や時間にとらわれずにスムーズな手続きが可能となり、中小企業の事業承継やM&Aが一層促進されることが期待されています。
結論として、日本の中小企業が持続可能な経営を実現するためには、事業承継とM&Aの戦略的活用が不可欠です。これらの手段を適切に活用することで、次世代への円滑な事業継承と、企業の成長・発展が達成されることを願っております。




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