執筆者:日税経営情報センター
「高齢者等終身サポート事業者」の経営破綻リスク等への対応策の一つとして、これらの事業者が信託会社等と信託契約を締結して預かった預託金を信託することが行われることがあります。こうした信託は、「顧客分別金保全信託」とも呼ばれています。(※)
「高齢者等終身サポート事業者」等が信託会社等に個人から預かった預託金を預ける(信託する)と、その金銭の名義人は受託者である信託会社等になるため、万が一、当該事業者等が倒産しても、当該事業会社等の債権者が信託財産である金銭を差し押さえることはできないと法律(信託法)で定められているのです。これがすなわち、信託の「倒産隔離機能」と呼ばれるもので、このような預かり金保全以外にも、M&Aや不動産取引等の決済代金の保全等でも利用されています。
(※)政府が本年6月に公表したガイドライン(高齢者等終身サポート事業者ガイドライン)においても、「信託契約を利用して保全することが望ましい」とされております。
一例として、以下に日税信託(日税グループ)における「顧客分別金保全信託」のスキーム図をお示しさせていただきます。
信託会社等は「高齢者等終身サポート事業者」等と「倒産隔離」を目的とした「顧客分別金保全信託」でつながりがあるケースがありますので、もし事業者選びにお困りになっている関与先様等がいらっしゃったら、信託会社等と親密な税理士先生を介して、事業者の情報を入手することもできると思います。
今回は「身寄りのない高齢者」をテーマにして、信託の役割を一つご紹介させていただきました。高齢化に伴うリスクには、身寄りがいなくなってしまうリスクのほか、認知症を発症してしまうリスクがあり、そのリスクへの対応は待ったなしと言えます。2024年5月に政府が発表した推計値(※)によれば、認知症の方は2050年に586万人に達し、65歳以上の高齢者の15.1%となります。予備軍とされる軽度認知障害(MCI)の方も632万人に達し、認知症の方との合計は1217万人で、65歳以上の高齢者の3.2人に1人に当たります。
(※)政府の認知症施策推進関係者会議(2024.5.8開催)にて示されたものです。
(出典)認知症施策推進関係者会議(2024.5.8開催)のデータを使用
認知症対策としての信託については、何度か本コラムでもご紹介させていただきます。「転ばぬ先の杖」という言葉もありますが、「身寄りのない高齢者」となるリスク、「認知症の高齢者」となるリスクへの対応とも、とにかく早めの対策(=杖)が必要です。なかなか重い腰をあげるのは大変ですが、思い立ったが吉日だと考え、 早いうちに身近の専門家、信託会社等に相談をしてみることをお勧めしたいです。
私ども日税グループでは信託を活用した資産・事業承継のご相談に専門の職員が丁寧、親切にご対応致します。ご相談は無料ですので、お気軽にお問合わせ下さい。
(お問合わせをいただいた税理士先生には信託の小冊子を謹呈致します)
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