MENU MENU

COLUMN

2023.02.14信託

信託活用事例【海外編】

  • 民事信託
  • 家族信託
  • 活用事例

執筆者:株式会社日税経営情報センター



1. はじめに
今回のコラムでは、海外の信託活用事例を見ていきたいと思います。
相続の手続きは国によって実に様々であり、日本のように亡くなった方の財産が、当然に法律で定められた相続人へ引き継がれる「当然相続主義」を採用していない米国では、相続が発生すると、相続財産は一旦、遺産財団に帰属します。
そして、裁判所の管理の下、プロベートという裁判手続きを経た上で相続人に帰属することとなります。財産の帰属や遺言の内容、遺産分割協議などについて、すべてこのプロベート手続きを受ける必要があります。
このプロベートは、費用もかかる上、手間がかかり多くの時間を費やすことになります。そこで、これを回避するためリビング・トラストと呼ばれる「生前信託」が普及しています。


2. 具体事例
2009年6月25日、50歳という若さでこの世を去ったマイケル・ジャクソン。
史上最も成功したアーティストとして「キング・オブ・ポップ」の称号を与えられ、これまでに全世界でCD・レコードの総売上枚数は4億枚を超えます。13回のグラミー賞を含む350以上の賞を受賞し、史上最も多くの賞を受賞したアーティストとしてギネス世界記録を保持するなど、その活躍は世界の歴史に刻まれています。

マイケル・ジャクソンの死は突然訪れましたが、彼は莫大な財産を滞りなく相続させることに成功した数少ない大スターと言われています。
亡くなった後ほどなくして、マイケル・ジャクソンが生前に2002年7月7日付で作成していた書類を、代理人がロサンゼルス最高裁判所に提出しました。
マイケル・ジャクソンの死後、注目を集めていたのは遺された子どもたち。約5億ドル(約500億円)を超えると言われる財産をめぐり、様々な憶測が飛び交っていたそうです。

最高裁に提出された時点で、一般閲覧が可能になったその内容はたったの5ページ。
財産のすべてを生前に設立した財団「マイケル・ジャクソン・ファミリー・トラスト」に信託するというものでした。信託された財産は、その40%を母であるキャサリン・ジャクソンに、40%を3人の子どもたちへ、そして残りの20%は慈善団体に寄付するという内容だったのです。

受益者である子どもたちは未成年であったため、成人するまでは信託財産の中から生活費や教育費を受け取り、残りの信託元本については、30歳で3分の1を、35歳で2分の1を、40歳になったら残りの全額を自由に使えると定められ、子どもたちの生活を守り長期にわたって安心して暮らせる内容になっていたとのこと。
この事例では、マイケル・ジャクソンが委託者、マイケル・ジャクソン・ファミリートラストが受託者、キャサリン・ジャクソンと3人の子どもたちが受益者となる信託設計となっています。

相続人の中に未成年がいる場合に、委託者の意向に沿って、お金の浪費等を防ぎながら財産を承継していく仕組み作りができるのは、信託ならではのメリットです。
信託ではなく、遺言で財産を遺すことはできますが、一括して相続人に承継されるため、この事例のように莫大な資産を突然受け継いだ場合はどうでしょう。
財産管理能力が不十分な若い相続人が、すべての財産を消費してしまうというリスクもあるかと思います。 継続して安定的に財産を承継できるような信託の仕組みを作っておけば、財産管理能力が十分に備わっていない未成熟な子や、身体的・精神的な障がいにより特別な配慮を要する相続人、浪費癖のある相続人などに安心して資産を承継することが可能です。

米国では、自分の人生の最後は自分の意思で締めくくりたいという考えの下、大部分の方がこれらの生前信託であるリビング・トラストを利用しているそうです。
マイケル・ジャクソンほどの財産規模ではなくても、日本でも希望に応じた柔軟な設計が出来る信託の仕組みがもっと普及し、紛争やトラブルの無い円満な相続が増え、 安心して人生を締めくくることができるようになることを切に願います。
※本コラムで記載した数値は引用元の数値を利用しておりますこと、お断りいたします。


参考文献


私ども日税グループでは信託に関するご相談を承っております。
ご相談段階では無料で対応させていただきますので、お気軽にご相談下さい!





あわせて読みたい!
信託活用と民法等改正②民事信託(家族信託)の活用事例



サービスのご案内
日税民事信託コンサルティングサービス日税事業承継支援サービスメールマガジンのご登録



免責事項について
当社は、当サイト上の文書およびその内容に関し、細心の注意を払ってはおりますが、いかなる保証をするものではありません。万一当サイト上の文書の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いかねます。
当サイト上の文書および内容は、予告なく変更・削除する場合がございます。また、当サイトの運営を中断または中止する場合がございます。予めご了承ください。
利用者の閲覧環境(OS、ブラウザ等)により、当サイトの表示レイアウト等が影響を受けることがあります。
当サイトは、当サイトの外部のリンク先ウェブサイトの内容及び安全性を保証するものではありません。万が一、リンク先のウェブサイトの訪問によりトラブルが発生した場合でも、当サイトではその責任を負いません。
当サイトのご利用により利用者が損害を受けた場合、当社に帰責事由がない限り当社はいかなる責任も負いません。



株式会社日税経営情報センター