「自筆証書遺言保管制度」を利用した私の同僚
最近、私よりひとまわり若い同僚が自筆証書遺言保管制度を利用して、遺言を作成してきたと教えてくれました。自筆証書遺言保管制度は、法務局で自筆証書遺言を保管する制度として2019年7月10日から開始されたものです。これまでの遺言書の保管件数は累計で58,787件にのぼり、制度開始当初からの月平均利用件数は約1,500件程度(2023年8月時点、法務省HP「遺言書保管制度の利用状況」より)で、今後さらなる利用件数の増加が見込まれそうです。
「遺言」の種類
さて、自筆証書遺言保管制度の話をさせていただきましたが、遺言の種類(普通方式)には、
(1)公正証書(公証役場で原本を保管)
(2)自筆証書遺言(自身が保管 又は 自筆証書遺言保管制度を利用)
(3)秘密証書遺言(自身で保管)
の3種類があります。
一方、財産の承継方法としては、「遺言」のほかに「信託」という制度があります。本コラムは信託コラムになりますので、「遺言」と「信託」の違いについて少しお話させていただきたいと思います。
「遺言」と「信託」の比較「信託」は信託財産を管理・運用・処分する制度ですが、信託受益権という形で財産権を承継させることができます。委託者の生前は自益信託(委託者兼受益者)の形でスタートし、委託者の死亡を契機にほかの者に受益権や残余財産が交付される形態が多いです。「遺言」と「信託」の主な違いを以下の表にまとめてみました。
「信託」を利用する場合のメリット「信託」を利用する場合の主なメリットとして以下があげられます。
・「信託」は、委託者の生前に受託者が信託財産を自己の管理下に置き、かつ所有名義も移転するので財産承継を実現する上での「確実性」に優れております。一方、「遺言」の場合は遺言執行者が正式に就職するまでのタイムラグの間に遺言執行妨害が発生するリスクがあります。
・「信託」では二次相続以降も財産の行く末を決めたい場合に対応することが可能です。これを「後継ぎ遺贈型の受益者連続信託」といいます。思わず舌をかんでしまいそうですが、これは「信託」を活用する場合の特筆すべきメリットの一つです。一方、「遺言」では、一次相続までしか対応できません。
「信託」を利用する場合の留意点(税金)上記のとおり「信託」には数々のメリットがありますが、税務面での注意が必要なケースもあります。例えば、個人が複数の収益不動産を所有している場合、「信託」を設定すると損益通算が出来なくなる場合がありますので、やはり個別ケースごとに顧問の税理士先生に相談すべきだと言えます。
「遺言信託」とは(信託法に基づく信託と別です)ここまで「遺言」「信託」をテーマに説明させていただきましたが、「遺言信託」という商品名を耳にされた方も多いかと思います。これは信託銀行等が提供している遺言作成コンサル・遺言書保管・遺言執行をトータルに行うもので、「遺言執行引受予諾業務」等のサービスを提供するものです。信託法に基づく「信託」とは別のものになります。
最後に以下項目に該当する方は、「遺言」「信託」等によって円滑な財産承継ができる準備をできるだけ早めに進めていく必要があると言われます。
【年 齢】 65歳以上
【所有財産】不動産を複数所有
【家族構成】子のいない夫婦、再婚して連れ子、独身、障害を持つ子がいる
年齢だけみても、自分自身もそうですが、今後ますます多くの人が財産承継について真剣に取り組む必要がある社会になってきていると言えますので、今後も引き続き財産承継に関する情報を発信していくことができればと考えております。
私ども日税グループでは信託に関するご相談を承っております。
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