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COLUMN

2023.03.29企業再生・経営

金融機関交渉Q&A vol.86

  • 抵当権
  • 借入金
  • 廃業

執筆者:松本光輝 先生
※松本先生のプロフィール詳細は、本ページの最後にてご確認いただけます。



■現状
製造業を営まれている社長様からの相談。
従業員は社長を含めて4名の家族経営。赤字が続いている。
借入金は、日本政策金融公庫から2,000万円、信用金庫から100万円。会社の資産としては、300坪の土地があり、当時は坪10万円で購入したので3,000万円の価値であったが、今の価値は2,100万円程、会社の借入と会社の価値がほぼ同額の状態である。
社長本人の年金が15万円、奥様の年金が7万円の合計22万円の年金と別途家賃収入の10万円を合わせた32万円から、今住んでいる家のローン10万円を引くと手元に残る生活費は、22万円となる。このため、会社を止めてもどうにか生活ができる収入は確保している。
一緒に働いている長女は、結婚していて旦那様と子供2人の4人暮らし。旦那様は会社員として働いているので、仕事が無くなっても旦那様の収入で生活していけると思われる。
一緒に働いている次男は、独身。繁忙期には、今でも以前に働いていた会社に年に数回、手伝いに行っているので、仕事が無くなったとしても、お願いすればその会社に戻ることは可能である。
つまり、廃業しても家族は生活していけると思えるのが現状。

■相談点
銀行借入の抵当権を外したいのだが、どうすれば外すことができるか教えて欲しい。個人の蓄えがあるので、これを会社借入の返済に回すつもりでいる。

■アドバイス
当期利益が赤字の現状では、借入金の全額を返済しなければ抵当権は外れない。
金融機関からの借入と会社の価値がほぼ同額なので、会社を止めて年金で生活してゆくことも可能であるが、次男に事業承継することも有りなのではないか。将来の事業性を考えて利益が出そうならば、事業承継して銀行借入金を返済していくことも可能。
銀行としては会社が不動産を所有しているということで、安心感は持っているはず。つまり、無理に抵当権を外す必要はない。
個人のお金は、今後の社長自身の生活のために自分で持っているべきである。
今、住んでいる家は、土地が社長、建物が奥様の所有。フラット35で月10万円の返済をしているが、家のローンと家賃収入が同額なので、ローンを終えれば生活費がプラス10万円となり生活費にも余裕ができる。貸し出している家は、築15年で賃貸借期間が設定されていない(無期限)とのことなので、今後の活用がし易いように有期契約に変更するよう不動産会社と交渉すべきである。



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松本 光輝

株式会社事業パートナー 代表取締役40年にわたり、飲食業を中心に会社経営。バブル崩壊時に25億円の負債を抱え、その後3年半でその負債を解消する。2003年より、事業再生請負人として全国行脚中。この間、依頼先の多くが1~2ヶ月以内に、資金ショートに陥るおそれがあるという危機的状況の中から、1社も倒産させることなく、300社を優に越える会社の再生を成功させる。
◎過去の経験を活かして、中小企業経営者の最高の相談者となるべく、活動を続けている。
◎経営者はもとより、幹部社員の皆様・社員の皆様の声をくみ上げ、共に全社一丸となった再生を達成すべく、全力で取り組んでいる。着手後、30日以内に再生計画を作成して、実行に移している。
◎会社を3年かけて再生させる独自の再生術は、他に類を見ません。