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COLUMN

2022.11.23企業再生・経営

金融機関交渉Q&A vol.82

  • 借入金

執筆者:松本光輝 先生
※松本先生のプロフィール詳細は、本ページの最後にてご確認いただけます。



■現状
スポーツシューズやスニーカーの販売業を営まれている社長様からの相談。
ピーク時は4憶円の売上があったが、平成31年3月期の売上は5,000万円。
自宅兼店舗の土地は父親の所有。父親は今年8月に亡くなっているが、相続、名義変更はまだ行っていない。
法定相続人は母、社長、妹の3名。自宅の評価額は4,000万円。
銀行からの借入は現時点で3行の合計が約9,000万円で保証協会付が4,500万円、利息のみ支払っている。
その他にカード会社からの借入が約2,000万円で毎月25万円の返済、住宅ローンも1,000万円残っている。

■相談点
負債はどのように処理したら良いか?

■アドバイス
今の状況で考えなければならないことは、何を守って何を捨てても良いかということである。
「自宅を守るのか? 守らないのか?」「会社を廃業するのか? 廃業しないのか?」を基準にして考える必要がある。

自宅については確認しなければならないことがある。
住宅ローンが1,000万円残っていて自宅の評価額が4,000万円なので、住宅ローンの次の権利者がいるか、 二番抵当、三番抵当の債権者がいるかどうかを確認して、債権者がいて債権残高が自宅の評価額の4,000万円よりも高いということであれば、自宅を諦めた方が良い。
逆に評価額が4,000万円よりも低いということであれば、リースバックが考えられる。
リースバックの場合は一旦、自宅を売買して他人名義にし、その売買金額を銀行に返して抵当権を抹消するという方法である。
この方法を使えば、残った人たちに債務は承継されない。今のままでは、法定相続人に銀行からの借入金9,000万円が残ってしまい、住宅ローンの1,000万円も残ってしまう。
会社の売上が5,000万円ということなので、1憶円の借入金は返済できない。つまり、会社は第二会社方式を使うか廃業するかして、自宅はリースバックにする。

会社を残すかどうかについては将来の事業性があるかどうかということで判断する。現在の銀行からの借入が9,000万円あり、10年以内に返済することを考えると1年間に900万円の簡易キャッシュフローが出ない場合には、第二会社方式を使うか廃業するべきである。



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松本 光輝

株式会社事業パートナー 代表取締役40年にわたり、飲食業を中心に会社経営。バブル崩壊時に25億円の負債を抱え、その後3年半でその負債を解消する。2003年より、事業再生請負人として全国行脚中。この間、依頼先の多くが1~2ヶ月以内に、資金ショートに陥るおそれがあるという危機的状況の中から、1社も倒産させることなく、300社を優に越える会社の再生を成功させる。
◎過去の経験を活かして、中小企業経営者の最高の相談者となるべく、活動を続けている。
◎経営者はもとより、幹部社員の皆様・社員の皆様の声をくみ上げ、共に全社一丸となった再生を達成すべく、全力で取り組んでいる。着手後、30日以内に再生計画を作成して、実行に移している。
◎会社を3年かけて再生させる独自の再生術は、他に類を見ません。