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2022.12.13信託

信託活用と民法等改正②

  • 民事信託
  • 家族信託
  • 民法改正

執筆者:株式会社日税経営情報センター



1. 所有者不明土地の問題
前回、民法改正についてお話をした際には、令和5年4月1日施行の民法改正のうち、共有に関する部分をお話いたしました。

今回は、相続登記の義務化等についてお話をしたいと思います。
ご承知の通り、この動きはいわゆる所有者不明土地問題への対応として進められてきたものです。相続登記がされないままに放置されていると所有者の探索に多大な費用と時間が必要となり、共有者が多数の場合や一部所在不明の場合には、土地の管理・利用に必要な合意形成が困難になるといった問題が指摘されてきました。
本日は、令和6年4月1日施行の改正不動産登記法による相続登記義務化を中心に、信託活用との関係をお話させていただければと存じます。以下は、令和3年12月法務省作成の説明資料等を基に記載しておりますが、信託活用との関係に関する意見等は筆者の責任で記載しております。

2. 相続登記の義務化等について

(1) 相続登記の義務化
令和6年4月1日施行の改正不動産登記法により、不動産の所有権の登記名義人に相続が発生した場合、自己のために相続が発生したことを知り、かつその所有権を取得したことを知った日から3年以内に①相続または②遺贈の登記を申請することが義務付けられました。
ただし、この期間に登記の申請ができない場合には③「相続人申告登記」という制度によって、相続人が登記名義人の法定相続人である旨を申し出ることで、①・②の登記申請義務の履行に代えることもできるとされています。登記申請義務に関しては、正当な理由の無い申請漏れには過料の罰則もあります。

(2) 住所変更未登記の場合の対応
また合わせて、登記簿上の所有者の氏名・住所に変更があった場合、変更があった日から2年以内にその変更登記の申請を行うことも義務化されます。これに係る法改正は令和8年までに施行される予定であり、実際の施行日は今後決定されます。これについても正当な理由の無い申請漏れは過料の罰則があります。
一方、この氏名・住所の変更に関しては、登記官が「住民基本台帳ネットワーク」にて確認した情報をもって職権で変更するといった方策も検討されており、不動産所有者の負担軽減も図られていく模様です。

(3) 長期間経過後の遺産分割の見直し
所有者不明土地の利用の円滑化を図るために、前述のような不動産登記法上の手当がされるのに加えて、民法でもいくつかの対応が取られています。その一つが既にお話をした共有についての見直しですが、他にも同じ令和5年4月1日施行で、相続開始時から10年を経過した後にする遺産分割は、具体的相続分ではなく、法定相続分(または指定相続分)によることを原則とする改正がされました。
従来は、具体的相続分による遺産分割を求めることに時間的制約がなかったため遺産分割協議まで長期間にわたることもあったものを、この制度の導入によって早期の遺産分割が成立するようになることや、画一的な割合である法定相続分を基準とする円滑な遺産分割が行われることを期待するといったことが制度導入趣旨とのことです。

3. 信託活用との関係について
資産承継を考える際には、かなりの確率で不動産がその中に含まれることと思います。その場合には、民事信託(家族信託)であれ、商事信託であれ、いずれにせよ不動産について信託の登記を行い、その物件が信託された物件であることを公示することが重要になります。都心の一等地の不動産であれば、相続登記未了といったケースは少ないかも知れませんが、いざ信託を検討する際に相続登記が未了であったり、かつて行ったはずの遺産分割協議通りの登記がされていないといったことがあると、その後の信託の登記実務がスムーズにいかなくなることも予想されます。
信託活用を検討する際には、早めに対象不動産の登記の状況も確認しておく必要があろうかと思います。


私ども日税グループでは、信託に関するご相談を商事信託、民事信託(家族信託)ともに幅広く承っております。
ご相談段階では無料で対応させていただきますので、お気軽にご相談下さい!





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