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COLUMN

2023.02.08企業再生・経営

金融機関交渉Q&A vol.85

  • 不動産売却
  • 資金調達

執筆者:松本光輝 先生
※松本先生のプロフィール詳細は、本ページの最後にてご確認いただけます。



■現状
金属回収業を営まれている社長様からの相談。
従業員は社長を含めて役員3名、従業員4名、パート2名の9名。
従来、廃棄プリント基板からの有価金属回収をメイン事業として行ってきたが、技術の進歩によりプリント基板の金使用量が減っており、回収率が低く採算が合わなくなってきたため、数年前から金属回収事業を閉じる方向で進めてきた。
残る事業は、消耗品販売。新規事業としてOA機器の販売と人材派遣業を考えているが、今は準備段階。

■相談点
  1. 使わなくなった不動産の売却はどのようにすれば良いか? 不動産の査定金額は1億円。
    金属回収は破砕機を使用して行っているので、薬品は使用していない。そのため土壌汚染はないと考えられる。
    不動産会社2社に仲介をお願いしているが、半年が経っても買い手が見付かっていない。2社とも一般媒介契約。

  2. 短期資金の調達はどのようにすれば良いか?
    昨年、銀行から融資を受けた。短期を希望したが断られ、担保有りの長期で1,000万円の借入れを行った。
    この借入を含めて銀行からの借入の合計が1億円、親会社からの借入が2,000万円。年間の返済額は1,000万円に上る。

■アドバイス
  1. 半年経って不動産会社2社とも買い手を見付けられないのであれば、紹介する不動産会社と専任媒介契約を結び3カ月任せて見てはどうか。

  2. 直近の決算書を見ると粗利率が12%と低い、鍋に穴が空いている状態ではいくら資金を投入しても穴から漏れてしまう。
    今期の試算表8カ月を見ると粗利1,100万円、税引き前純利益△1,900万円(損失)、銀行への元本返済1,000万円。これを合算すると4,000万円。この額の営業利益を出した状態で、やっと利益がとんとん(0円)になる。
    直近3ヶ月のキャッシュフロー、必要な現・預金を計算すると400万円が不足しているので、銀行に対しては「不動産を売って返却しますので、それまでの間は元本返済を止めます」という交渉を行い、内部留保を増やす。
    今後については、元本返済を止める方向で交渉する。これは背水の陣でやらなければならない。不動産の売却先を探すよりも先にやらなければならない。

銀行との返済交渉及び不動産の売却が一段落したら、今後、利益が出せるのかを四半期ごとに計算して行くことが必要である。



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松本 光輝

株式会社事業パートナー 代表取締役40年にわたり、飲食業を中心に会社経営。バブル崩壊時に25億円の負債を抱え、その後3年半でその負債を解消する。2003年より、事業再生請負人として全国行脚中。この間、依頼先の多くが1~2ヶ月以内に、資金ショートに陥るおそれがあるという危機的状況の中から、1社も倒産させることなく、300社を優に越える会社の再生を成功させる。
◎過去の経験を活かして、中小企業経営者の最高の相談者となるべく、活動を続けている。
◎経営者はもとより、幹部社員の皆様・社員の皆様の声をくみ上げ、共に全社一丸となった再生を達成すべく、全力で取り組んでいる。着手後、30日以内に再生計画を作成して、実行に移している。
◎会社を3年かけて再生させる独自の再生術は、他に類を見ません。