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COLUMN

2023.02.07企業再生・経営

事業承継税制の認定取消事由

  • 事業承継税制

執筆者:株式会社日税経営情報センター



事業承継税制の確認申請の期限は令和6年(2024年)3月31日です。今後1年、さらに事業承継税制の確認申請が増えてくるものと思われます。
まだ1年あるものの、申請前に「知らなかった」とあわてることの無いように、今回は事業承継税制の猶予税額が免除される場合と認定取消事由について、贈与のケースを用いて整理しておきます。


1. 納税猶予額が免除される場合
納税猶予額が免除される場合は、贈与の申告期限後5年間の認定有効期間内と、認定有効期間後に限り免除される場合の2パターンがあります。

認定有効期間内に免除される場合
  • 後継者の死亡
  • 先代経営者の死亡(贈与税は免除されるが、相続税の課税対象になる)

認定有効期間後に限り免除される場合
  • 会社の倒産
  • 次の後継者へ贈与
  • 同族関係者以外の者に株式等を全部譲渡した場合(譲渡対価等を上回る税額が免除される)

一般的には、事業承継税制を適用した場合、認定有効期間後に次の後継者に贈与することで、免除してもらうことを計画化します。
事業承継税制を申請するうえで、基本パターンとして押さえていただきたいポイントです。


2. 認定取消事由
一方、認定取消事由も申請マニュアル「第4章 認定の取消しについて」で23の事由が掲載されています。

後継者の要件としては、
  • 認定承継会社の代表者を退任した場合
  • 議決権同族過半数要件を満たさなくなった場合
  • 同族内筆頭要件を満たさなくなった場合

これらの事由が認定有効期間内に生じた場合は、猶予されていた贈与税の全額及び利子税を納付しなければいけません。


  • 納税猶予対象株式を譲渡した場合

この場合には、認定有効期間内に生じた場合、猶予されていた贈与税の全額及び利子税の納付が必要です。
認定有効期間後に生じた場合でも、猶予されていた贈与税の一部及び利子税の納付が必要になります。


さらに、認定取消事由の中には組織再編に関係する事由も含まれています。
  • 会社分割(吸収分割承継会社等の株式等を配当財産とする剰余金の配当があった場合に限る)
  • 合併により消滅した場合(ただし、認定を承継するための要件有り)
  • 株式交換・株式移転により完全子会社となった場合(ただし、認定を承継するための要件有り)

いずれの事由も、認定有効期間内に生じた場合には、猶予されていた贈与税の全額及び利子税を納付します。
認定有効期間後に生じた場合には、猶予されていた贈与税のうちの一部及び利子税を納付します。

事業承継税制とは、あくまでも後継者の事業継続を支援するための制度であり、制度適用後に組織再編等が生じると、納付期限が確定されますので、ご注意ください。

事業承継税制と組織再編。
この2つの取り組みは、事業承継税制を適用した後に組織再編をするのではなく、組織再編を行ってから事業承継税制を適用すべきです。




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