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COLUMN

2022.12.06企業再生・経営

事業承継税制の前に自社株式の評価額を下げる:①役員退職金の利用

  • 事業承継税制、事業承継計画

執筆者:株式会社日税経営情報センター


事業承継税制(特例措置)のご相談、申請が増えています。
「いつ贈与すれば良いのか?」
という単刀直入なご質問が多いのですが、事業承継税制を申請する前に、いくつかの重要なステップがあります。
そのひとつが「自社株式」の評価額を下げるということです。

事業承継税制を申請することによって、贈与税または相続税の納税猶予を受けられ、その後、免除にはなりますが、認定取消事由があることもご注意ください。

  • 先代経営者の要件
    再び認定承継会社の代表者になった場合など

  • 後継者(受贈者)の要件
    事業継続期間内に議決権が同族過半数要件を満たさなくなった場合など

  • 会社の要件
    後継者の代表権・議決権を制限した場合など

万が一、取消要件に該当すると、猶予されていた贈与税の全額または一部、そして利子税を納付しなければいけません。
納付額が多額になると、後継者が納税資金を準備できず、金融機関から借入をおこなわなければならないなど、新たな対策が必要になってしまいます。

こういった労力を最小限にするために、自社株式の評価額を下げることも念頭に置いておくべきでしょう。
企業価値を下げる考え方もいくつかありますが、今回は最も基本的な「役員退職金を利用する」についてまとめておきます。

  • 経営者が後継者に事業承継して、ご自身が退職する際には退職金を受け取ることができます。
  • 役員退職金は法人税法上、支給した金額を損金として計上することができます。
  • 企業に損失を計上することで、自社株式の評価額を下げるということになります。

役員退職金を考える際に重要なポイントは以下3点です。

①適切な金額であること

- 役員退職金規程に則って計算されている

- 退職する役員のそれまでの功績や社会通念から見ても妥当な金額である


②会社としての意思決定であること

- 取締役会や株主総会の決議を経て支給している

- その議事録が適切に作成されている


③形だけの退職ではないこと

- 実質的に退職したという事実が必要

- 会社での役割や報酬、出勤回数などから判断して実質的に退職している


特に、事業承継税制のご相談の際、
「いったん退職して、退職金を受け取り、評価を下げて自社株の贈与をおこなう。その後、非常勤として給与を受け取りたい」
といった要望を伺う機会が何度かありました。

退職前と退職後で実質的に変化がない場合には、退職金ではなく通常の報酬に該当する、と税務当局から指摘を受ける可能性があります。
退職金であれば所得税は大幅に軽減されますが、通常の報酬と判断された場合、金額によっては最高税率での課税も考えられます。

「役員退職金は経営者が実質的に退職した際に支給する」という点を踏まえて事業承継計画を作成しましょう。




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