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COLUMN

2022.08.09企業再生・経営

事業承継スキームとしての分社化

  • 事業承継スキーム

執筆者:株式会社日税経営情報センター



事業承継税制だけでは対策が不十分
事業承継税制(特例措置)のご相談をいただく中、「納税猶予ができれば良い」と考えられている関与先様が多いのですが、それだけでは不十分な場合が少なくありません。

対策が不十分になる要因のひとつは、複数の後継者がいる場合。
事業承継税制(特例措置)では最大3人の後継者に承継することが可能ですが、次の代の事業承継を考えると、あまり多くの後継者に承継しては、「争族」になりかねません。

対策が不十分になる2つ目の要因として、事業承継税制には申告後5年間の事業継続期間があり、事業継続期間中に納税猶予の認定が取り消しになる場合もあるということです。
その際の納税負担を考えると、万が一に備えて自社株の評価を下げておくことが必要です。

複数の後継者に承継するためにも、自社株評価を下げておくためにも、事業承継スキームのひとつとして分社化をお勧めしておきます。

分社化のパターン
会社分割には4つのパターンがあります。
分社時に新会社を設立するか、既存の会社に事業を吸収させるか。
現行の会社の兄弟会社にするか、子会社にするか。



複数の後継者に事業を承継させたい場合は「分割型分割」、
自社株対策を視野に入れる場合は高収益事業を子会社化する「分社型分割」が一般的です。

自社株対策上の留意点
分割会社が大会社区分に該当し、かつ類似業種比準価額で高株価となっている会社の場合、分社型分割によって、高収益事業を子会社化することで、分割会社の類似業種価額が大きく引き下がります。
このスキームで株価が低減するには、以下2点が必須要件となります。
  1. 分割会社が株式保有特定会社に該当しないこと
  2. 分割会社の会社区分をできるだけ大きくすること

分割会社を株式保有特定会社に該当しないためには、分割会社に不動産を集約して保有させるのが一般的です。不動産では足りない場合、事業上の合理的理由により他の資産を集約させる必要があります。

また、分割会社の会社区分を大きくするには、分割会社の売上高と従業員数をできるだけ残しておくことが必要になりますが、高収益事業を子会社の承継会社に承継させるため、様々なパターンでシミュレーションすることをお勧めしておきます。

なお、分割会社と承継会社の株式をそれぞれの後継者で分けて保有するためには、分社化してから承継会社の株式を後継者の一人に譲渡または贈与するという流れになります。

このように、複数の後継者が存在する場合、または高収益事業を有する場合は、事業承継税制にとどまらず、事業承継スキームと組み合わせて検討することをお勧めします。




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