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COLUMN

2021.09.14中小企業とM&A

≪M&A道2丁目≫中小企業M&Aにおける5W1Hとは?―⑩【vol.52】

  • M&A

本コラムは、M&Aキャリア25年超の当社のシニアマネージャーが執筆しております。この情報が関与先様へのアドバイスの一助となれば幸いです。



前回のつづきをお送りいたします。

↓前回分はこちら↓
 ■≪M&A道2丁目≫中小企業M&Aにおける5W1Hとは?―⑨


①『Where(どこで)?』

買収を検討する企業において、『Where(どこで)?』とは、買収ターゲットの事業領域(domain;ドメイン)のことです。すなわち、事業戦略上シナジー効果が有効に働くターゲット企業の業種、事業内容、地域などに関する問題です。

前回の『When(いつ)?』では、まず「事業戦略ありき」であることを示しましたが、『Where(どこで)?』では、事業戦略についてどの事業領域で戦うかという経営課題について検討することとなります。
事業領域は、農業に例えれば、どこを「畑」にして耕すのかということに他なりません。いずれの企業においても最も重要な経営課題のひとつが、これから豊饒な実りをもたらす「畑」となる市場開拓です。
その探索すべき「畑」においては、自社にとって既存の経営資源を有効に活用することによりシナジー効果を駆動させて、将来の成長市場を創造していかねばなりません。
M&Aにおいても同様の考え方に基づきます。
買い手となる企業では、M&Aのターゲットとなる企業を発掘するため、自社にとって今後の企業成長において必要不可欠な事業領域を絞り込むための事前調査が必要となります。
そのため、M&Aにおいても、ターゲットとすべき事業領域を決定するうえで、自社分析が欠かせません。自社分析を行ううえでは、SWOT分析やPPMのフレームワークなどを活用されています。
SWOT分析とは、自社の内部資源と外部環境の分析により、自社にとっての「強み」、「弱み」、「機会」および「脅威」を洗い出すことから始めます。そうした作業を踏まえて事業戦略の立案の基礎を構築するための経営分析手法です(図1ご参照)。
SWOT分析の結果、自社の強みは自力で積極的な事業拡張を図ることになりますし、足りない経営資源があれば外部から調達します。それが有機的一体物である事業体が丸ごと必要なのであれば、M&Aを検討することが有益な事業戦略となります。

(図1)SWOT分析図


出典:Urumo!-【図解】SWOT分析とは?ビジネスパーソンなら知っておくべき基本フレームワーク

PPMのフレームワークとは、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントの略称で1960年代に米国コンサルティング会社のボストン・コンサルティング・グループ(BCG)によって提唱されました。
主に企業の既存事業構成や事業間の最適資源配分を検討する際に活用される分析手法です(図2ご参照)。
PPMでは、市場成長率と相対的な市場シェアを座標軸として、金のなる木、花形製品、問題児、負け犬といった名称を使って事業戦略を検討する手法です。
図2記載の4面マトリックスにおいて、自社にある各事業部門のマーケット・ポジションを位置づけし、自社内にある各事業部門について今後の事業展開、撤退などを検討するものです。PPMクレームワークは、複数の事業部門をもつ大企業に適した経営分析手法といえます 。

(図2)プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)


出典:Business Plan Media-PPM理論で学ぶ! パナソニック携帯事業の撤退理由

新しい「畑」を耕すには、労力、時間などが相応にかかります。既存の経営資源だけで賄うことができればよいのですが、そう簡単なことではありません。
そのため、既に耕されていて毎年毎年一定の収穫が見込める畑を、その畑を耕すひとも一緒に取得することができれば、グリーンフィールドから開墾する場合とは異なり、手間暇をかけずに農作業に入ることができます。
こうした考え方をするのがM&Aの『Where(どこで)?』という問題です。しかし、手に入れた「畑」が遠くにあれば、その「畑」を継続的に運営管理することは、これまた骨の折れる話となります。収穫時の運搬や人手のやりくりをつけなければなりません。
「畑」で耕す農産物を何にするのかという問題については、農産物の売れ筋や季節性商品を考えて種まきすれば、その「畑」の生産性も向上します。その際、農産物に精通した熟練者も欠かせません。それ以外にも力仕事も要りますし、物流するには運転手も必要です。そうしたこと全てを1つのパッケージとして取得できるのがM&Aです。

M&Aでも大企業が買収する場合と中小企業が行う場合とではM&Aのあり方に違いがあるように思われます。
買手側が中小企業の場合には、M&A後、あまねく融通が効く訳ではないように思われます。大企業の場合、経営資源の最適再配分をより効果的に行うことができます。
「畑」(ドメイン)をどこにし、耕作する「農産物」(製品)を何するのかを検討することが『Where(どこで)?』という「事業戦略」上の問題であり、また、事業リスクの観点から畑で作る作物が多様であれば、「事業ポートフォリオ戦略」上の問題、さらに、農産物を収穫、運搬、卸売、小売までを手掛けるのであれば、「サプライチェーン戦略」上の問題となります。
このように、どの事業領域で事業の拡大を図るのかを明確化し、それを具体的にこの「畑」がほしいというところまでブレークダウンすることができれば、漠然としたM&A買いニーズを税理士先生やM&Aアドバイザーにエントリーする場合とは異なり、より具体性をもってアドバイザーらが売り案件の発掘に努めることができます。


 ・・・つづきは次回、『≪M&A道2丁目≫中小企業M&Aにおける5W1Hとは?―⑪』でお送りいたします。


注 釈

(注1)参考文献として、淺羽茂・須藤美和共著「企業戦略を考える」(2007年)を参照。






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