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COLUMN

2021.06.24富裕層コンサルのイロハ

【事業承継税制(特例)】業績悪化事由による差額免除制度の実践的留意点:税務調査との関係・相続時精算課税との関係等―③

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■【事業承継税制(特例)】業績悪化事由による差額免除制度の実践的留意点:税務調査との関係・相続時精算課税との関係等―②


(問 43)差額免除の計算の具体例(その5):解散をした場合

(問)Aは、甲から贈与されたX株式会社の株式について「贈与税の納税猶予の特例措置」の適用を受け、特例経営贈与承継期間は経過したが、このたび、X株式会社は、その業績の悪化に伴い解散した。
この場合に、差額免除により免除される税額等はどのようになるのか。
〔贈与時〕

・相続税評価額:300(猶予税額:150)

〔譲渡時〕

・解散時におけるX株式会社の株式の相続税評価額:200
(相続税評価額200を基に再計算した猶予税額:100)

・解散以前5年以内にAがX株式会社から受けた配当等はない。

(注)上記の数値は、実際の税額等とは異なる。



(答)
次のとおりとなる。

・免除される税額:50

・猶予期限が確定する税額:100


(解説)

1. 特例認定贈与承継会社が解散した場合の差額免除については、譲渡等の場合における2分の1判定は不要であり、解散時におけるX株式会社の相続税評価額(200)に基づき猶予税額を再計算することとなる。


2. そして、この解散時における相続税評価額に基づき再計算した税額(100)と従前の猶予税額(150)との差額(50)が免除される。
なお、再計算した猶予税額(100)については、解散の日から2月を経過する日において納税猶予の期限が確定することとなる。




定義と計算方法は上掲の通りとして、課税実務上、留意すべき点は、

①当該適用の際には宥恕規定がないこと

②当該適用の際には「必ず」当局調査があること(「改正税法のすべて」より)

が挙げられます。
この点、一部研修会講師の中には意図的に条文上の業績悪化事由を生じさせ、一部免除を狙おうと指摘する向きもありますが、上記のように当局調査が絶対に入るため、当該行為は非常にリスクが高いと考えます。

なお、差額免除で2 分の1 の対価で譲渡した場合については、今後の中小企業・零細企業M&Aにおいて

・価額交渉の場面

・PMIの場面

で影響が出てくるものと想定されます。

2. 相続時精算課税との関係について
上掲資料により、確定税額は、譲渡対価による猶予税額等となることは分かります。これで暦年贈与についての贈与税納税猶予は確定することになります。
相続時精算課税における贈与税納税猶予適用額については、免除されなかった部分において、贈与税の納税猶予制度は終了します。すなわち、譲渡対価等において、相続税法第21条の14から16の規定が適用されることになります(注1)。

(除外合意、固定合意-法4条1項1号及び2号)【相続税法第21条の14~16】
第21条の14 特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得した者及び当該特定贈与者に係る相続時精算課税適用者の相続税の計算についての第15条の規定の適用については、同条第1項中「(第19条)とあるのは「(第19条、第21条の15又は第21条の16)と、「同条」とあるのは「これら」とする。
第21条の15 特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得した相続時精算課税適用者については、当該特定贈与者からの贈与により取得した財産で第21条の9 第3項の規定の適用を受けるもの(第21条の2 第1項から第3項まで、第21条の3、第21条の4及び第21条の10の規定により当該取得の日の属する年分の贈与税の課税価格計算の基礎に算入されるものに限る。)の価額を相続税の課税価格に加算した価額をもって、相続税の課税価格とする。

2 特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得した相続時精算課税適用者及び他の者に係る相続税の計算についての第13条、第18条、第19条、第19条の3 及び第20条の規定の適用については、第13条第1項中「取得した財産」とあるのは「取得した財産及び被相続人が第21条の9 第5 項に規定する特定贈与者である場合の当該被相続人からの贈与により取得した同条第3項の規定の適用を受ける財産」と、同条第2項中「あるもの」とあるのは「あるもの及び被相続人が第21条の9 第5項に規定する特定贈与者である場合の当該被相続人からの贈与により取得した同条第3項の規定の適用を受ける財産」と、第18条第1項中「とする」とあるのは「とする。ただし、贈与により財産を取得した時において当該被相続人の当該一親等の血族であった場合には、当該被相続人から取得した当該財産に対応する相続税額として政令で定めるものについては、この限りでない」と、第19条第1項中「特定贈与財産」とあるのは「特定贈与財産及び第21条の9 第3項の規定の適用を受ける財産」と、第19条の3 第3項中「財産」とあるのは「財産(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で第21条の9 第3項の規定の適用を受けるものを含む。)」と、第20条第1号中「事由により取得した財産」とあるのは「事由により取得した財産(当該被相続人からの贈与により取得した財産で第21条の9 第3項の規定の適用を受けるものを含む。)」と、同条第2号中「財産の価額」とあるのは「財産(当該被相続人からの贈与により取得した財産で第21条の9 第3項の規定の適用を受けるものを含む。)の価額」とする。

3 第1項の場合において、第21条の9 第3項の規定の適用を受ける財産につき課せられた贈与税があるときは、相続税額から当該贈与税の税額(第21条の8の規定による控除前の税額とし、延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税に相当する税額を除く。)に相当する金額を控除した金額をもって、その納付すべき相続税額とする。

第21条の16 特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得しなかった相続時精算課税適用者については、当該特定贈与者からの贈与により取得した財産で第21条の9 第3項の規定の適用を受けるものを当該特定贈与者から相続(当該相続時精算課税適用者が当該特定贈与者の相続人以外の者である場合には、遺贈)により取得したものとみなして第1節の規定を適用する。

2 前項の場合において、特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得しなかった相続時精算課税適用者及び当該特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得した者に係る相続税の計算についての第18条、第19条、第19条の3及び第19条の4の規定の適用については、第18条第1項中「とする」とあるのは「とする。ただし、贈与により財産を取得した時において当該被相続人の当該一親等の血族であった場合には、当該被相続人から取得した当該財産に対応する相続税額として政令で定めるものについては、この限りでない」と、第19条第1 項中「特定贈与財産」とあるのは「特定贈与財産及び第21条の9 第3項の規定の適用を受ける財産」と、第19条の3 第3項中「財産」とあるのは「財産(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で第21条の9 第3項の規定の適用を受けるものを含む。)」と、第19条の4 第1項中「該当する者」とあるのは「該当する者及び同項第5号の規定に該当する者(当該相続に係る被相続人の相続開始の時においてこの法律の施行地に住所を有しない者に限る。)」とする。

3 第1項の規定により特定贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなされて相続税の課税価格に算入される財産の価額は、同項の贈与の時における価額による。

4 第1項の場合において、第21条の9 第3項の規定の適用を受ける財産につき課せられた贈与税があるときは、相続税額から当該贈与税の税額(第21条の8の規定による控除前の税額とし、延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税に相当する税額を除く。)に相当する金額を控除した金額をもって、その納付すべき相続税額とする。




注 釈

(注1) https://takeuchitax.com/archives/503を参照している。





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伊藤 俊一

税理士
伊藤俊一税理士事務所 代表税理士。
1978年(昭和53年)愛知県生まれ。税理士試験5科目合格。
一橋大学大学院修士。都内コンサルティング会社にて某メガバンク案件に係る事業承継・少数株主からの株式集約(中小企業の資本政策)・相続税・地主様の土地有効活用コンサルティングは勤務時代から通算すると数百件のスキーム立案実行を経験。現在、厚生労働省ファイナンシャル・プランニング技能検定試験委員。
現在、一橋大学大学院国際企業戦略研究科博士課程(専攻:租税法)在学中。信託法学会所属。