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COLUMN

2021.06.16企業再生・経営

金融機関交渉Q&A vol.65

  • 資金繰り
  • 事業承継

本コラムは、(株)日税ビジネスサービスの「日税主催研修」「日税オンデマンド」でも講師としてご活躍いただいている(株)事業パートナーの代表取締役社長・松本光輝先生に、300社を超える会社の再生の成功体験をもとに、金融機関交渉に関してQ&A形式でまとめて頂きました。この情報が関与先様へのアドバイスの一助となれば幸いです。



■現状
建設業の社長様からの相談。
社長は60歳、2年前に病気を患ったが今は完治し仕事に復帰している。奥様は59歳で副社長を務め会社で経理を担当している。お子さんは2人で娘さんはこの会社に勤務しているが、息子さんは別の会社に勤めている。家は持ち家で、家族4人ローンを終えた自宅で暮らしをしている。この自宅を売却すると約1,500万円。
銀行からの借入総額が4憶円。全ての借入に際し、社長と奥様が連帯保証人となっている。
仕事で受注している家の建築坪単価は55万円~65万円が最も多く、その上で70万円~75万円、一番高いクラスで80万円(平均して延床40坪で1棟あたり2,500~3,000万円位)である。

■相談点
今期の売上が5憶円から3憶5,000万円に落ちてしまった。理由は、建物の完成工事未収金回収が遅れ、それが売上に響いてしまった。しかし、来期には5憶円くらいに戻る予定であるが、仕事の受注が止まると資金が底を突いてしまう。
3年前にリスケを行い1年目と2年目は計画通り返済を行えたが、3年目は計画通りにいかず返済が滞ってしまった。現在はその元本返済として毎月100万円を銀行に支払っている。銀行からは融資を断られてしまった為に、信用金庫の手形貸付の支払いを継続的に止め、短期と長期の借入に対して利息のみを支払っているのが現状である。
健康上の問題と売上が落ちてきている現状から、社長はすぐにでも事業承継を行いたいと考えているが、建設業の場合7年以上の経験がないと事業承継できないというルールがあるため娘に継承することはできないので、今いる社員に引き継げればと考えている。
このような状況で事業を継続していくことは可能だろうか?

■アドバイス
会社から事業を取り出すにしても、今の形で利益もない状況で残すなら誰も事業継承をしたいとは思わない。ビジネスモデルを変えなければならない。

●今現在、完成工事未収金が5,000万円あるが、例えば支払いを契約時10%、着工時30%、完成時30%、引き渡し時30%にすることにより未収金リスクを減らすことができる。

●施工単価は坪当り70万円以上を目標にすること。

●今現在は新築が多いが、今後は新築50%、リフォーム50%の割合にして粗利率は新築20%、リフォーム30%を目指す。新築の場合は、今後はスマートハウス(便利さ快適さを追求した家)が主体になると考えるのでビジネスモデルを変更する。


4億円の借金については、

●第二会社に移行する。

●自宅はリースバックを行い、時価相当額を銀行へ返済する。

●保証協会へ代位弁済された部分に対しては求償権に対して毎月1万円を返済する。これは保証人である社長が返済する。

●日本公庫に対しては毎月1万円を保証協会同様に返済する。

●プロパー部分に対しては、サービサーに債権譲渡された時点で和解交渉をする。
最終的には3年以内には概ね終了すると思う。




※コラムに関するご質問は受付しておりません。予めご了承ください。



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松本 光輝

株式会社事業パートナー 代表取締役40年にわたり、飲食業を中心に会社経営。バブル崩壊時に25億円の負債を抱え、その後3年半でその負債を解消する。2003年より、事業再生請負人として全国行脚中。この間、依頼先の多くが1~2ヶ月以内に、資金ショートに陥るおそれがあるという危機的状況の中から、1社も倒産させることなく、300社を優に越える会社の再生を成功させる。
◎過去の経験を活かして、中小企業経営者の最高の相談者となるべく、活動を続けている。
◎経営者はもとより、幹部社員の皆様・社員の皆様の声をくみ上げ、共に全社一丸となった再生を達成すべく、全力で取り組んでいる。着手後、30日以内に再生計画を作成して、実行に移している。
◎会社を3年かけて再生させる独自の再生術は、他に類を見ません。