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COLUMN

2020.12.23企業再生・経営

金融機関交渉Q&A vol.59

  • 資金繰り

本コラムは、(株)日税ビジネスサービスの「日税主催研修」「日税オンデマンド」でも講師としてご活躍いただいている(株)事業パートナーの代表取締役社長・松本光輝先生に、300社を超える会社の再生の成功体験をもとに、金融機関交渉に関してQ&A形式でまとめて頂きました。この情報が関与先様へのアドバイスの一助となれば幸いです。



■現状
土木建設業を営まれている社長様からの相談。
社長は70歳、平成元年から30年間、社長としてやっているが、その前の20年間はこの会社に社員として勤務していた。職人あがりで経営の勉強をしてこなかったのが、今となっては悔やまれるとのこと。
お兄さんがこの会社を起した際に社長とお兄さんの奥様が連帯保証人になったが、その後、お兄さんが自己破産したため、今も保証協会に借入返済をしている。
個人では会社社屋の土地と建物購入のための借入を地方銀行から4,000万円行ったが、今の残債は約1,500~1,700万円程で、毎月20万円程を口座引落しで返済している。
肌感覚ではあるが、役員報酬は月18万円。国民年金は2ヶ月毎に14万円(月7万円)。合計で月25万円の収入がある。
法人借入の保証協会に代位弁済された銀行の融資は、お兄さんが会社を畳んだときの2,000万円と8~9年前の3,000万円の2口あり、両方で毎月5,000円を返済している。
去年は1,000万円の赤字ではあったが、6月時点で手元資金は400万円あった。しかし、現在は2つの当座を合わせて200万円しかなく、今月末の支払いが200万円~300万円程足りない。


■相談点
会社が生き残るためには、今はどうしたら良いか?


■アドバイス
先ずは、自分の収入を含めて生活を安定させることを優先させる。借金等に関しては、支払える金額の範囲で支払うこと。相手が了承するか否かではなく、実現可能なことをするべき。


■対処方法

●自宅を出て行かないで住み続けられる方法を考える。
親戚への売却で住み続ける。これをセール&リースバックと言う。担保が付いていれば、時価相当のお金を工面して銀行に支払って担保を外してもらう。

●銀行への完済期間が10年を超えるようであれば、第二会社を設立しその会社に事業譲渡して再出発する。現在の会社は廃業する。但し、借入金の返済がなくても利益が出ないようならば、事業を継続する意味がないので借金が更に増えない時点で廃業するべき。

●現在の会社が廃業する時点の銀行の借金は、

①保証協会へ代位弁済された後に、例え少額でも良いので払い続ける。

②地銀からの借入金はサービサーに売却されると思われるので、サービサーと支払える範囲の金額で和解となる。



■所感
色々とご不安はあると思いますが、無い袖は振れないと言うように、卑屈にならず自分を含めた家族の生活を守ってください。



※コラムに関するご質問は受付しておりません。予めご了承ください。



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松本 光輝

株式会社事業パートナー 代表取締役40年にわたり、飲食業を中心に会社経営。バブル崩壊時に25億円の負債を抱え、その後3年半でその負債を解消する。2003年より、事業再生請負人として全国行脚中。この間、依頼先の多くが1~2ヶ月以内に、資金ショートに陥るおそれがあるという危機的状況の中から、1社も倒産させることなく、300社を優に越える会社の再生を成功させる。
◎過去の経験を活かして、中小企業経営者の最高の相談者となるべく、活動を続けている。
◎経営者はもとより、幹部社員の皆様・社員の皆様の声をくみ上げ、共に全社一丸となった再生を達成すべく、全力で取り組んでいる。着手後、30日以内に再生計画を作成して、実行に移している。
◎会社を3年かけて再生させる独自の再生術は、他に類を見ません。