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COLUMN

2022.06.14信託

民事信託(家族信託)と成年後見制度

  • 民事信託
  • 家族信託
  • 成年後見制度

執筆者:株式会社日税経営情報センター



1. 成年後見制度の概況
最近、インターネット等を見ていると、民事信託(家族信託)と成年後見制度の比較が語られる中で、民事信託(家族信託)の方がより柔軟で、低コストな制度であるとされることが多いかと思います。本日は、この点について、お話をさせていただければと思います。

そもそも成年後見制度とはどのようなものでしょうか。後見・保佐・補助の法定後見類型および任意後見を指し、事理弁識能力が衰えている方を、その衰えの状況に応じて保護する制度ということになろうかと思います。利用にあたっては家庭裁判所への申立等が必要になります。
以下、成年後見制度に関する数字をいくつかあげてみます。

①申請件数や後見人の担い手(最高裁判所事務総局家庭局 令和3年版資料より)

令和3年の成年後見申立件数は全体で 39,809件(前年比+約 6.9%)であり、申立人は市区町村長約 23.3%、本人の子約 20.9%、本人約 20.8%の順となっています。
本人の男女別割合は男性約 44.1%・女性約 55.9%となっており、65歳以上の方が占める割合は、男性では全体の約 72.2%を、女性では全体の約 86.1%を占めているそうです。
また、後見開始が認められた事案のうち、認知症を起因とするものが全体の約 63.7%を占め、次いで知的障害約 9.6%、統合失調症約 9.1%となっているそうです。
次に担い手となる後見人の方に目を転じてみると、配偶者・親・子供等の親族が後見人となった事案が全体の約 19.8%、それ以外が約 80.2%となっているそうです。では、それ以外の内訳はというと、司法書士約 37.7%、弁護士約 25.9%が主要な担い手となっています。
この後見人の担い手における親族と専門士業の割合はこのところの傾向であり、親族後見人が選ばれにくくなっている状況が見て取れます。この辺りが制度を利用する側にとっては使い勝手が悪いと感じる1つの要因かも知れません。


②後見人費用の目安(東京家庭裁判所 平成25年資料より)

やや古い資料にはなりますが、これによると、成年後見人の月額報酬は資産額にもよりますが 2~6万円であり、これに身上監護等で特別困難な事情がある場合には 50%までの付加報酬が加算されるそうです。
厚生労働省の資料によれば、令和1年時点の平均寿命と健康寿命の差は、男性で約 8.7年・女性で約 12.1年だそうです。月額約 5万円の後見人報酬が約10年継続する可能性があるとすると、後見制度を利用すると約 6百万円の費用が発生する可能性があるということになる訳です。


以上みてきたように、成年後見制度は専門士業の方が後見人に選ばれることが多く、そのことで本人や周囲の方がコミュニケーションに敷居の高さを感じることや、相応のコスト負担が発生することから、一般に使い勝手が悪い制度という受け止め方がされているものと思われます。


2. 民事信託(家族信託)との比較
ここで改めて民事信託(家族信託)との比較をしてみます。


※上記以外にも、本人死亡時の対応や身上監護の有無等、比較の論点はありますが、それはまた別の機会にお話をさせていただきたいと思います。


確かに、財産管理の柔軟性やコストという観点では、民事信託(家族信託)が良いように思えます。
ただし、ここで重要なことは民事信託(家族信託)を利用するには、基本的にはそれが契約で設定するものであるために、ご本人の意思能力が必要ということです。
このコラムシリーズの第一弾でもお話をしましたが、私どもが民事信託(家族信託)の相談は早めにしていただきたいと申し上げる理由もそこにあります。

私どもは相談段階では無料で対応させていただきますので、お気軽にご相談下さい!




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