執筆者:株式会社日税経営情報センター
1. 将来に備えて将来、ご自身やご家族が病気や事故で日常生活に支障をきたすようになったらどうしよう、そんな不測の事態に備えて青年期から壮年期にかけてできることに保険があります。
それでは、さらに歳を重ねて高齢者となり認知症を患って大切な財産管理や相続の準備をご自身の意思でできなくなったらどうでしょうか。老いは不測の事態ではなく、誰にも訪れる明日です。このシリーズではそうした際に活用できる民事信託(家族信託)についてのあれこれをご紹介しています。
前回のコラムでは、何故、民事信託(家族信託)を行う上で、受託者名義の口座(以下、信託口口座といいます)開設が必要になるのかをお話しました。
今回は信託口口座の開設のポイントと口座開設の流れ、銀行に提出する書類について解説していきたいと思います。
2. 信託口口座開設のポイント信託口口座を開設することは、一般の預金口座を開設することとは異なり、以下の点に注意する必要があります。
- 開設可能な金融機関は限られています
- 信託口口座開設にあたっては、金融機関の審査があります
- 開設までに時間がかかります
- 口座開設には一定金額以上と定めのある金融機関があります
- 手数料がかかる場合が多いです
- ほぼすべての金融機関において公正証書で作成した信託契約書を求められます
- 信託契約後に信託した金銭を管理する口座に資金移動することによって受託者の管理がスタートします
※なお信託対象不動産に金融機関の融資がなされている場合には、別途注意が必要になりますがそれはまた別の機会にお話しさせていただきたいと思います。
3. 口座開設の流れ金融機関によって違いはありますが、概ね以下のような流れになります。
STEP①
信託口口座が開設できる金融機関か確認しましょう。最近は信託口口座の開設に対応してくれる金融機関も増えているようですが、まだどの金融機関でも信託口口座の開設ができる訳ではなく、慎重なスタンスのところも多いようです。また、対応可能な金融機関でもお取引の状況等を勘案して可否を決めるという金融機関もあるようです。
STEP②
信託契約書案を作成し、開設基準を満たしている契約内容か金融機関に事前に相談しておく必要があります。開設するにあたりどのような目的で口座開設をするのか、委託者と受託者の関係など信託契約の内容を説明しておきます。
STEP③
金融機関は総合的に審査を行います。金融機関における口座開設については、確認事項の厳格化という流れがあります。万が一STEP②を行わずに信託口口座の開設に行った場合、口座開設基準に満たないという理由から窓口で拒否されることも考えられます。
STEP④
金融機関での審査がおりた信託契約内容にて、信託契約書を公正証書で作成、口座開設に必要な書類を準備し金融機関に提出します。
STEP⑤
おおよそ2週間から長くて1カ月ほどかかる場合があります。
STEP⑥
信託口口座の開設完了
4. 必要書類の準備金融機関によって違いはありますが、概ね以下のような書類が必要になります。
- 信託契約書(公正証書)
- 金融機関所定の口座開設申込用紙
- 戸籍謄本
- 住民票
- 本人確認書類
- 不動産を信託する場合には不動産の登記事項証明書
- 印鑑
民事信託(家族信託)契約書は、契約に合意していることが明らかであれば形式は問わないとされていますが、口座開設の根拠として金融機関に提示する契約書であるため、ほぼすべての金融機関において公正証書の提示が求められます。公正証書は公証人が当事者の意思を確認した上で作成しますので、本人の意思能力および信託設定に関する当事者の合意について争いになる可能性が低いことから、金融機関としても口座開設後のトラブル回避のために必要と考えているものと思われます。
5. まとめここまで、民事信託(家族信託)の信託口口座開設についてポイントや手続きの進め方、必要書類を確認してきました。特に金銭だけを信託する場合、信託契約を円滑に進めるためにも信託口口座を開設し管理していくことは重要です。
民事信託(家族信託)は財産管理の方法のなかでも、新しい手法です。一般の方にはまだ浸透していない部分もあります。民事信託(家族信託)の利用を検討している方は、一度専門家に相談したうえで、本格的なプラン設計や手続きに着手するとよいでしょう。
私どもは相談段階では無料で対応させていただきますので、お気軽にご相談下さい!
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