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2022.02.09税務情報

法人に関する2022年税制改正のポイント

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  • 税制改正

執筆者:アクタス税理士法人
※アクタス税理士法人についての情報は、本ページの最後にてご確認いただけます。



令和4年度の税制改正は、「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトに、新資本主義の実現に向けた取組を推進する税制が盛り込まれることになりました。法人としてぜひとも押さえておいてほしい内容について、絞って解説していきます。

■法人に関する改正ポイント

(1)賃上げ促進税制
賃上げ促進税制は、令和3年度の税制改正で一度改組されたが、今回の要請を受け、期限到来前に再度改組されることになりました。
今回の改組では、計算方法のベースは令和3年改正前に戻し、そして、条件をクリアすれば、控除率を加算して、引き上げるようになっています。
基本的にこの税制は、給与が一定率以上増えれば、対象金額に控除率を乗じて求める計算方法になっていますが、大企業が主に採用することになるものと、中小企業が採用できる2つの仕組みに大きく別れています。

※大企業と中小企業の定義は、大企業は、主に資本金が1億円を超える企業、中小企業は資本金が1億円以下の企業のことをいう。
なお、中小企業の正確な定義は、青色申告書を提出する者のうち、以下に該当するものを指す。

  1. 以下のいずれかに該当する法人
    (ただし、前3事業年度の所得金額の平均額が15億円を超える法人は本税制適用の対象外)
    1. 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人
      ただし、以下の法人は対象外となる
      • 同一の大規模法人(資本金の額若しくは出資金の額が1億円超の法人、資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人超の法人又は大法人(資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人等)との間に当該大法人による完全支配関係がある法人等をいい、中小企業投資育成株式会社を除きく。)から2分の1以上の出資を受ける法人
      • 2以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受ける法人
    2. 資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
  2. 常時使用する従業員数が1,000人以下の個人事業主
  3. 協同組合等(中小企業等協同組合、出資組合である商工組合等)

①主に大企業が採用することになる賃上げ税制の改組
令和3年改正により判定基準と計算方法のベースが大きく変わり、判定基準が「新規」雇用者の給与の増加率にかわりました。税額控除額も新規雇用者給与の金額に率を乗じることになっていました。これを今回の改正では、令和3年改正「前」の継続雇用者を対象に、給与増減率を把握し、適用要件となる増加率をクリアすれば、「給与が増えた「総額」に控除率」を乗じる」という計算方法に戻ることになります。
今回の改正では、控除率の上乗せに2段階設定になっていくのがポイントとなります。基本の控除率15%に次のような2段階の加算が加わります。

1段階:クリア条件である継続雇用者の給与増加率が3%以上でなく、4%以上あった場合、控除率を10%加算

2段階:教育訓練費を対前年度20%以上増やすと5%を加算

すべての要件をクリアすると、15%+10%+5%=最大30%の控除率となります。

②主に中小企業が採用することになる賃上げ税制の改組
中小企業については、従来の判定基準、計算方法のベースは変わらず、控除率の上乗せに2段階設定される点がポイントとなります。

1段階:クリア条件である継続雇用者の給与増加率が1.5%以上でなく、2.5%以上あった場合、控除率を15%加算

2段階:教育訓練費を対前年度10%以上増やすと10%を加算

すべての要件をクリアすると、15%+15%+10%=最大40%の控除率となります。

③適用時期
上記①、②共に令和4年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始する各事業年度に適用されます。

<大企業と中小企業の税額控除の一覧表>


<大企業向けの税額控除の詳細(時系列)>

※1 資本金の額等10億円以上かつ常時使用従業員1,000人以上の大企業に対する要件とし、自社ウェブサイトに宣言内容を公表したことを経済産業大臣に届出

<中小企業業向けの税額控除の詳細(時系列)>


【知っとくポイント】
1. 共通
  1. 給与の増加額に控除率を乗じて計算する
  2. 基本の控除率は15%
  3. 控除率は2段階の条件設定があり、クリアする毎に加算が行われる

2. 大企業
  1. 控除率は最大30%
  2. 税額控除額は「継続雇用者」に係る給与等に対する控除に戻す
  3. 適用判定において対象者を新規雇用者から「継続雇用者」に戻す

3. 中小企業者等
  1. 控除率は最大40%

【経理・財務への影響等】
給与の増加は、すなわち人件費の増加であり、企業経営においては「固定費の増加」になります。税制の適用を受けるために給与を引き上げるわけでなく、結果として給与の引上げを行うと税制でも優遇されると捉えておくのが大切となります。
給与の増加率が税制の要件を超えてなかったとしても、当然に優先されるのは企業経営の方になります。税制優遇はあるが、人件費増になるので、「固定費の増加」につながっていることをしっかりと認識しておくことは重要なことになります。

(2)電子帳簿保存義務の2年間猶予
令和3年度の税制改正で令和4年1月1日から施行予定となっていた「電子取引の電子保存の義務化」については、2年間の猶予期間が設けられることになりました。
「電子取引の電子保存の義務化」は、予定通り令和4年1月1日から施行されますが、同日から2年間、「やむを得ない事情がある」と認められる場合には、電子取引情報の書面出力と保存が認められることになります。ここで「やむを得ない事情」とは、電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存に係るシステム等や社内でのワークフローの整備未済等、保存要件に従って電磁的記録の保存を行うための準備を整えることが困難であることをいいます。準備が整えることができなかったことが、すなわち「やむを得ない事情」とされたのです。

【知っとくポイント】
電子取引の電子保存については2年間宥恕規定が定められました。用意ができないことそのものがやむを得ない事情となっています。

【経理・財務への影響等】
今回の措置はあくまで猶予であり、廃止されたわけではありません。2年以内には電子取引の電子保存が求められることになります。引き続き準備の手を緩めるわけにはいきません。また、令和5年10月からは、消費税のインボイス制度が始まり、これに向けて、適格請求書発行事業者の登録や請求書フォーマットの整備など、準備を進めていく必要があります。電磁的記録での交付や保存も認められるので、これを機に電子請求書を導入して、ペーパレス化と業務効率化を進めたり、全社的にデジタル化への対応をじっくり行う2年間と捉えていくのがいいです。2年という期間が用意されていますがあっという間に過ぎ去るものです。最初の1年は特に何もせず後半の1年で慌てて用意をするというのが実務では非常に多いところです。デジタル化には慣れが必要であり、短期間で進められるものではありません。最初の一年目からしっかりと用意していくのがよいと思われます。

(3)その他
その他の改正項目としては、基本的には条件の拡充か縮小の見直しを行いながら、既存制度の取扱いの延長が図られています。
  1. 基本的な既存制度の延長措置
    次の規定について、適用期限が2年延長される。
    • 交際費等の損金不算入
    • 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
    • 中小企業者以外の法人の欠損金の繰戻還付不適用措置(銀行等保有株式取得機構の欠損金額を除外)
    • 海外投資等損失準備金制度
    • 国家戦略特別区域における機械等を取得した場合の特別償却又は特別控除
    • 国家戦略総合特別区域における機械等を取得した場合の特別償却又は特別控除(対象事業の見直しあり)
    • 5G投資促進税制
    • 地方拠点強化税制の拡充・延長

  2. 簿外経費の必要経費・損金不算入
    仮装・隠蔽行為に基づく確定申告書の提出又は無申告の場合における費用の額は、次に掲げる場合を除き、損金不算入とされます。

1) 保存する帳簿書類等により取引が行われたことや金額が明らかである場合

2) 保存する帳簿書類等により取引の相手方が明らかである場合、その他当該取引が行われたことが明らか又は推測される場合であって、反面調査により、税務署長が、取引が行われ、これらの額が生じたと認める場合


■まとめ
コロナ禍の収束が見えない令和4年税制改正においては、毎年必ず一つはでてくる新たな税額控除などの税制は措置されていません。新しい制度の観点から捉えると今回の税制改正は目新しいものがなく小粒な改正ともいえます。
今回の改正で、電子取引について2年間の猶予期間が設けられたというのは、それに向けて準備をする期間であるので、企業としてこの間、電子化に対応する行動をしっかりと行なっていくべきでしょう。この猶予の2年間に新しいシステムがどんどんと発表されていくことと考えます。これらの情報はしっかりとキャッチアップして頂き、自社に合った電子化を進め、業務の効率化をぜひとも進めて頂きたいです。



本記事は、アクタス税理士法人より掲載許可をいただき、同ホームページにて公開されている記事を転載したものです。
コラムに関するご質問は受付しておりません。予めご了承ください。
なお、アクタス税理士法人に関する情報は、本ページの最後にてご確認いただけます。

▼アクタス税理士法人 ホームページ
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