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COLUMN

2021.11.24企業再生・経営

金融機関交渉Q&A vol.69

  • 買掛金
  • 借入

本コラムは、(株)日税ビジネスサービスの「日税主催研修」「日税オンデマンド」でも講師としてご活躍いただいている(株)事業パートナーの代表取締役社長・松本光輝先生に、300社を超える会社の再生の成功体験をもとに、金融機関交渉に関してQ&A形式でまとめて頂きました。この情報が関与先様へのアドバイスの一助となれば幸いです。



■現状

・アパレルメーカー、創業30年

・社長60歳、配偶者なし、子供なし

・自社の強みは商品企画力で、製造は外部に委託している

・社員10名

・売上が3年で1億円減少、今期は前期に比べ70%減少、粗利27%、労働分配率65%

・買掛金の支払は猶予中、但し今月の支払が不可なら商品調達は困難な状況

・長期借入1億円、短期借入1,000万円

・2019年11月にリスケを行い、元本返済を停止、現在、利息のみ月額7万円を支払っている

・ファクタリングを検討している


■相談点

1. 現在の事業をこのまま続けていても良いか?

2. 喫緊の買掛金支払をどうすれば良いか?


■アドバイス

1. ビジネスモデルの見直しにより再建を目指すべきであり、会社をたたむのであれば、早期に決断した方が良い。
現在は構造上、利益が出ないビジネスモデルである。粗利が年々下がり現在27%、利益を出すには35%程度が必要。
労働分配率が高くここ2、3年で急激に悪化し65%、業界的には48%~50%が平均である。
売上が低下しても販管費の見直しができていない等、経営者としての努力が不足している。
売上を維持し、利益率10%を目標に3年間集中し利益体質を改善する必要がある。繰越欠損金が1億円あるので、利益が出ても法人税を支払う必要がないため、繰越欠損金を活用できる2022年までの3年間経営に集中する。
銀行に経営改善計画を提出し、3年間はリスケを維持し、4年目以降に備えて良い人脈を作る。


2. ファクタリングを検討しているようであるが、ファクタリングを活用せずに自社で資金を捻出する。売掛と買掛の状況からすると今月はなんとかできるはずである。売掛債権を買取る“グレーファクタリング”は絶対使ってはいけない。
減らせるもの、支払を遅らすことができるものを検討すると共に、販管費を見直す。
仕入先に買掛金を私募債に変換してもらうよう交渉する。




※コラムに関するご質問は受付しておりません。予めご了承ください。



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松本 光輝

株式会社事業パートナー 代表取締役40年にわたり、飲食業を中心に会社経営。バブル崩壊時に25億円の負債を抱え、その後3年半でその負債を解消する。2003年より、事業再生請負人として全国行脚中。この間、依頼先の多くが1~2ヶ月以内に、資金ショートに陥るおそれがあるという危機的状況の中から、1社も倒産させることなく、300社を優に越える会社の再生を成功させる。
◎過去の経験を活かして、中小企業経営者の最高の相談者となるべく、活動を続けている。
◎経営者はもとより、幹部社員の皆様・社員の皆様の声をくみ上げ、共に全社一丸となった再生を達成すべく、全力で取り組んでいる。着手後、30日以内に再生計画を作成して、実行に移している。
◎会社を3年かけて再生させる独自の再生術は、他に類を見ません。