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COLUMN

2021.10.12中小企業とM&A

<M&Aにおけるデューデリジェンスについて>その2:セルサイドデューデリジェンス【vol.56】

  • M&A

本コラムでは、当社の経験豊富なシニアマネージャーが執筆しております。この情報が関与先様へのアドバイスの一助となれば幸いです。



↓前回分はこちら↓
 ■<M&Aにおけるデューデリジェンスについて>その1:デューデリとは?


デューデリジェンスは、M&Aの際に買手が売手企業の実態を把握するために必要となるものであり、買手は相応のコストと手間を掛けてデューデリジェンスに臨むことになり、外部の専門家に依頼することも珍しくありません。
しかし、このデューデリジェンスは決して買手だけの問題ではありません。
デューデリジェンスで買手が求めるレベルが上がれば、それに比例して対応する売手の負担も大きなものとなります。デューデリジェンス対応がスムーズに進まなかったり、売手の姿勢が消極的であったりすると、買手はデューデリジェンスを通して売手企業の評価を行いますから、結果として、売手にとって不利な評価に繋がったり、買手が疑念を抱いて買収を断念するという事態に至ることもあります。

売手においては、譲渡価値の最大化を目指す上で事前対応がしっかりと出来ていることが求められるわけです。
売手自らが自身の会社に対して、経理処理、税務、労務、業務フローなどに関して問題点がないか、事業計画がきちんと作成できているか等、買手がデューデリジェンスで求めてくることが想定されるポイントについて自ら対応しておくことであり、これはセルサイドデューデリジェンスと呼ばれています。
このセルサイドデューデリジェンスの重要性を表す例としては、M&Aでのオークションを挙げることができます。

オークションは売手が複数の買手候補を相手に入札で売却先を絞り込む手法です。
各買手候補から提示される買収金額その他諸条件のうち、売手にとって最良の条件を提示した先をその後の交渉相手として選択しますが、売手は各買手候補に対して入札検討のための資料を作成し、提供する必要があり、ここでセルサイドデューデリジェンスが重要な役割を負います。
買手の立場からすれば、買収対象企業の強み/弱みやリスクがしっかりと把握できないと条件提示が難しくなります。
売手にとっては、価値の最大化を目指す上で買手が検討できるだけの基本情報を提供することが求められ、セルサイドデューデリを事前に行っておく必要があるわけです。

デューデリジェンスは売手にとって決して受動的なものではありません。むしろ自身の価値最大化のために積極的に取り入れる方が望ましいとも言えます。
ここで、デューデリジェンスが価値最大化のために重要だということが理解できても、売手がこのセルサイドデューデリジェンスを一体どのくらい前もって着手しておけばよいのかという点が問題になります。

答えとしては、基本的には早ければ早いほど有利と言うことになります。
具体的な売却計画がなくても将来どこかの時点で売却の可能性があるということであれば、自社の分析を行っておくことは大変有益です。様々な点について確認、分析を行うことによって自社の問題点や強み/弱みが明確になり、早期の改善策導入も可能になり、価値向上につながるからです。
デューデリジェンスにおける着眼点は、財務状況、経理処理、労務管理、税務リスク、業務フロー、取引先、経営者、技術、ITインフラ、安全管理、コンプライアンスなど多岐にわたりますので時間的な余裕をもってしっかりと調査分析を行い、無理なく着実に改善を進めていくことが肝要です。

中小企業の場合には、人的・財務的なリソースには制約がありますので、どの分野から手を付けていくかも悩ましい問題です。
可能であれば、最初のうちは外部の専門家の力を借りるのも賢明な方法かと思われます。
まずは日頃からコミュニケーションのある税理士先生など信頼できる身近な専門家に相談することが良いかもしれません。

M&Aのような場面では、売手企業は買手企業により良く理解してもらうことが価値向上のために大変重要ですから、売手経営者は決して受け身に構えず、プロアクティブに自身の価値向上を図る姿勢が求められます。日頃からの自己分析と改善努力は、M&Aにも大変有効なのです。






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