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COLUMN

2021.09.29中小企業とM&A

<M&Aにおけるデューデリジェンスについて>その1:デューデリとは?

  • M&A

本コラムでは、当社の経験豊富なシニアマネージャーが執筆しております。この情報が関与先様へのアドバイスの一助となれば幸いです。



M&Aに関して「デューデリ」という言葉をよく聞きますが、この言葉は省略形であり、本来は「Due Diligence」という言葉に由来し、「当然におこなうべき努力・勤め」とでも直訳することになりますが、要するにM&Aに際して企業が当然に実施すべき注意義務というものです。
日本語では「買収監査」と呼ばれることもあり、文中では「DD」として頭文字で表記されることもあります。

M&Aにおいて買手は買収によって新たなリスクを取得することになりますので、事前に対象会社の実態を調査してリスクの所在を把握しておくが重要となり、M&Aにおける交渉過程では基本合意契約を締結した後に一定期間実施される事が一般的です。
このデューデリの内容は多岐にわたり、財務、人事労務、税務、法務、経営体制、オペレーション、取引先、ビジネスモデル、業界競争環境など様々な側面から対象会社を分析することになります。

例えば、財務デューデリでは以下のようなポイントを対象とします。

・収益:過去からの業績推移、本業から得られる収益力、事業計画の信頼性など。

・運転資本:必要運転資本としての資金需要や季節変動要因など。

・設備投資:過去の設備投資実績及び将来の設備投資計画の確認など。

・負債:有利子負債及びその他負債の確認、簿外債務や偶発債務の把握など。


人事労務デューデリでは、組織や人員の構成、キーマンの状況、人事労務制度、労使関連の問題点などの把握を行いますが、これはM&A後のグループの統合を目指すうえでも大変重要な調査です。
人材確保を目的とした買収や異業種とのM&Aにおいては、被買収企業で働く人材を有効活用できるよう上手くグループの統合を進めていく必要があります。

また、法務デューデリでは、対象企業が事業を行う上で遵守するべき法律や業界の諸規則の確認のみならず、取引先や周辺住民との係争事案など当該企業の価値に影響を与える可能性があるリスクもの確認が求められます。

オペレーションのデューデリでは、対象企業の業務フロー上にあるリスクを確認します。
IT環境に係るリスクもその一つであり、特にITを重度に利用する大企業になるほど、このリスクは重大なものとなります。ITに係るリスク調査分析においてはソフトやシステムの脆弱性、欠点を独立した外部の専門機関を利用して発見する動きもあり、最近ではデジタル・フォレンジックという言葉も耳にすることが多くなりました。

デューデリの実施に際しては、買手自身が直接に行うケースもあれば、買手が外部のコンサルティングなど専門家に委託して行うケースもあります。大手企業では自社内に部署横断的なデューデリのプロジェクトチームが組成されることもあります。
デューデリに係るコストは買手の負担となります。買手は一連のデューデリの結果を踏まえて買収価額の適正さを判断しますので、デューデリにおいては詳細な情報を売主に求めることになります。

一方、売主にとっては、提供する情報の整備などで手間の負担があり、また、経営者やその他キーマンへのインタビュー対応など、結構なストレスを抱えることになります。特に売却対象企業が中小企業の場合には、内部統制レベルの未熟な企業が多いことから、デューデリでは売手に大変負担のかかる対応を強いられることとなります。
売手はデューデリに対応出来るように前もって社内管理を確認し、データや記録管理帳票の所在、保存状況の確認をしっかりと行っておくことが肝要です。

中小企業M&Aの場合、デューデリに要する時間は対象企業の規模、デューデリの内容、買手の方針などによって異なりますが、短くて2週間、長くて2カ月近くに及ぶ場合もあります。中小企業の場合、時には短期間での業績変化もあり、デューデリ期間中に業績が思わぬ下振れを起こした場合にはその分の原因究明も含めて買手は確認を求めることになり、譲渡価額の交渉に影響を与えることもあります。

このようにM&Aを成立させる上で避けて通ることが出来ず、またその対応にも手を抜くことが出来ないということがデューデリの大きな特徴でもあります。




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