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2021.08.19税務コンサルのポイント

【事業承継税制(特例)】特例承継会社が外国会社株式等を有する場合:切替確認VS相続税納税猶予スタートの有利・不利判定

  • 富裕層コンサルのイロハ
  • 事業承継税制(特例)

Q. 特例承継会社が外国会社株式等を有する場合:切替確認VS相続税納税猶予スタートの有利・不利判定


表題の件につきご教示ください。


Answer

切替確認(当初、贈与税の納税猶予スタート)の場合と、相続税納税猶予スタートの場合とで納税猶予額が変動することがあります。シミュレーションが必要です。

【解説】
贈与税の納税猶予から相続税の納税猶予へ切替確認した場合、相続税の納税猶予額の算定基礎となる特定適用対象株式の株価を再計算します。
当該再計算株価は以下の株価を計算し、小さい方の株価を基に相続税の納税猶予額を算定することになります。

○ 贈与税納税猶予額の算定基礎となった株価、つまり、当初算定時、外国株式等の除外計算をしているはずなので、その除外計算後の当初贈与時株価

○ 当初贈与時株価(当初算定時、外国株式等の除外計算をしているはずなので、その除外計算後)×(分子)認定会社の相続時点の純資産価額-認定会社所有(直接のみならず間接も含みます)外国会社株式等の時価純資産額/(分母)認定会社の相続時点の純資産価額


切替確認において、当初贈与時、認定会社が大会社に該当していた場合においては、当初贈与時の(除外計算後)類似業種比準方式価額に、上記の算式の相続時純資産価額による修正計算を行うことになります(措通70の7 の4-6 、措規23の12③等)。
上記の計算式から分かることは、当初贈与時よりも相続時の外国子会社株式割合が増加する場合には、その増加割合に応じた分は相続税の納税猶予対象外となってしまうということです。
ということは、現時点の外国子会社の業績と相続時点である将来の業績とを予測する必要が生じます。業績好調であり、外国子会社の内部留保が今後順調にたまっていく状況が明らかに予測される場合には、贈与税の納税猶予スタートより相続税の納税猶予スタートの方に有利になるケースも想定されます。


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伊藤 俊一

税理士
伊藤俊一税理士事務所 代表税理士。
1978年(昭和53年)愛知県生まれ。税理士試験5科目合格。
一橋大学大学院修士。都内コンサルティング会社にて某メガバンク案件に係る事業承継・少数株主からの株式集約(中小企業の資本政策)・相続税・地主様の土地有効活用コンサルティングは勤務時代から通算すると数百件のスキーム立案実行を経験。現在、厚生労働省ファイナンシャル・プランニング技能検定試験委員。
現在、一橋大学大学院国際企業戦略研究科博士課程(専攻:租税法)在学中。信託法学会所属。