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COLUMN

2021.03.25税務コンサルのポイント

【事業承継税制(特例)】遺留分侵害額請求との関係―①

  • 富裕層コンサルのイロハ
  • 事業承継税制(特例)

Q. 遺留分侵害額請求との関係

遺留分侵害額請求と事業承継税制(特例)、贈与税の納税猶予の関係についてご説明ください。


Answer

令和元年7月1日から施行された改正民法により、遺留分侵害額請求の対策が従前と変更されると思われます。

【解説】
令和元年7月1日以降の事業承継税制(特例)、贈与税の納税猶予における特例贈与者の死亡については、その死亡が贈与後、早い時期(特例承継期間内、つまり、認定申請後初めの5 年間)の場合、下記の方法を検討する必要があると思われます(注1)。
令和元年7月1日からの、改正民法について遺留分額侵害請求については、下記の通りです。

【改正後民法】
(遺留分侵害額請求権の期間の制限)
第1048条
遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から10年を経過したときも、同様とする。


改正民法により、贈与税の納税猶予(特例)の適用を受けている贈与者が死亡した場合には、相続税法第32条第3号により、

・株数を減少させる贈与税の更正の請求を行う
・同時に相続された株式数も相続税の更正の請求を行う

こととされました。
これらの場合、当該納税猶予制度において、期限確定には該当しません。

【相続税法第32条第3 号】
(更正の請求の特則)
第32条
相続税又は贈与税について申告書を提出した者又は決定を受けた者は、次の各号のいずれかに該当する事由により当該申告又は決定に係る課税価格及び相続税額又は贈与税額(当該申告書を提出した後又は当該決定を受けた後修正申告書の提出又は更正があった場合には、当該修正申告又は更正に係る課税価格及び相続税額又は贈与税額)が過大となったときは、当該各号に規定する事由が生じたことを知った日の翌日から4月以内に限り、納税地の所轄税務署長に対し、その課税価格及び相続税額又は贈与税額につき更正の請求(国税通則法第23条第1項(更正の請求)の規定による更正の請求をいう。第33条の2 において同じ。)をすることができる。
三 遺留分による減殺の請求に基づき返還すべき、又は弁償すべき額が確定したこと。



・・・つづきは次回、『【事業承継税制(特例)】遺留分侵害額請求との関係―②』でお送りいたします。


注 釈

(注1) https://takeuchitax.com/archives/493を参照している。




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伊藤 俊一

税理士
伊藤俊一税理士事務所 代表税理士。
1978年(昭和53年)愛知県生まれ。税理士試験5科目合格。
一橋大学大学院修士。都内コンサルティング会社にて某メガバンク案件に係る事業承継・少数株主からの株式集約(中小企業の資本政策)・相続税・地主様の土地有効活用コンサルティングは勤務時代から通算すると数百件のスキーム立案実行を経験。現在、厚生労働省ファイナンシャル・プランニング技能検定試験委員。
現在、一橋大学大学院国際企業戦略研究科博士課程(専攻:租税法)在学中。信託法学会所属。