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COLUMN

2021.02.25税務コンサルのポイント

【事業承継税制(特例)】遺言書作成で特に留意すべき事項

  • 富裕層コンサルのイロハ
  • 事業承継税制(特例)

Q. 遺言書作成で特に留意すべき事項

事業承継税制(特例)を適用するにあたり、遺言書作成で最も留意すべき点をご指摘ください。


Answer

遺留分侵害額請求に対する対応でしょう。

【解説】

民法改正により、令和元年7月1日以後の贈与者の死亡から、遺留分は減殺請求から、遺留分侵害額請求になりました。
遺留分侵害額請求の基本的な流れを確認します。
遺留分侵害額の請求をされた場合、遺留分権利者と受贈者等で、金額の協議をすることになります。金額の合意ができた場合は支払期限も同時に合意します。金銭債務額について合意したものの、同時に弁済期限の合意がない(できない)場合、他の受贈者等は、裁判所に期限の許与を求めて訴えを提起する可能性も考えられます。

金額について合意できない場合には、遺留分権利者は家庭裁判所に調停を申し立てることになります。同時に上述の期限の許与も求めるのが通常です。仮に家庭裁判所の調停が不成立に終わった場合、遺留分権利者は裁判所に遺留分侵害額請求訴訟を起こすことになります。

上記が一般的な流れとなりますが、納税猶予の対象を受けている株式が推定相続財産に混在している場合には、どのような取扱いになるのでしょうか。

現状、贈与税の納税猶予の適用を受けているとします。贈与者死亡の場合、特例対象株式の全部がみなし相続されることになります(贈与税の納税猶予から相続税の納税猶予に移行するためには別途切替確認が必要です)。
 しかし、相続税の納税猶予においては、みなし相続対象株式のすべてについて自動的に承継されるわけではありません。したがって、相続税の納税猶予に切替確認する場合には、予め遺留分侵害額請求により譲渡が予定される株式数を除外しておく必要性があります。除外された株式について相続税の納税猶予を改めて選択する必要が生じます。当該判断は相続税の申告期限までに行う必要があります(注1)。


(注釈)

(注1)https://takeuchitax.com/archives/512を参照している。




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伊藤 俊一

税理士
伊藤俊一税理士事務所 代表税理士。
1978年(昭和53年)愛知県生まれ。税理士試験5科目合格。
一橋大学大学院修士。都内コンサルティング会社にて某メガバンク案件に係る事業承継・少数株主からの株式集約(中小企業の資本政策)・相続税・地主様の土地有効活用コンサルティングは勤務時代から通算すると数百件のスキーム立案実行を経験。現在、厚生労働省ファイナンシャル・プランニング技能検定試験委員。
現在、一橋大学大学院国際企業戦略研究科博士課程(専攻:租税法)在学中。信託法学会所属。