MENU MENU

COLUMN

2021.02.04税務コンサルのポイント

【事業承継税制(特例)】事業承継税制(特例)における代表者就任要件/議決権数判定の留意点

  • 富裕層コンサルのイロハ
  • 事業承継税制

Q. 事業承継税制(特例)における代表者就任要件

事業承継税制(特例)においては当然、形だけの代表者就任では適用不可となります。この点、先代と後継者は「先代が代表権を有しない限りにおいて」共同代表も可能とのことですが、例えば、先代経営者の配偶者が子供と共同代表として代表者に就任する場合、職務実態として最低限どの程度のことが求められますか。


Answer

法人税基本通達9-2-32に立ち返る必要があると思われます。

【解説】

まず、後継者と異なっている権利、義務がある役員であることは大前提です。
その範囲が異なっていると典型的な否認事例になると思われます(銀行、決裁権や人事権等々も含めて)。
平成23年9 月28日裁決や東京高裁平成27年4月22日判決に見られるような経営者グループと同一のことをしていたので経営者グループに議決権を含めて判定したという事実認定がありましたが、そういったことに対するエビデンスの整理が「逆の」意味で必要になります。





Q. 議決権数判定の留意点
先代経営者の議決権数の判定は、先代経営者が個人で保有する議決権数が基準となり同族の関連会社を通じて間接的に保有する議決権数は判定基準に含まれないという理解で正しいでしょうか。
この理解が正しいとした場合、先代経営者が関連会社を通じで保有する議決権数が先代経営者個人の議決権数を上回っているようであれば先代経営者の議決権数の要件は満たされないということになります。
対応策としては関連会社が保有している株式の移転、当該関連会社と対象会社との合併といったものが考えられますが他にも何か対応策があるでしょうか。


Answer

事業承継税制適用時に必ずチェックしなければならない論点です。中小企業庁のマニュアルを読み落とすと、適用除外になります。

【解説】

中小企業庁のマニュアル通り、直接保有分のみで算定し、間接保有分は考慮しません。
認定申請前の事前の株式異動(これには合併も考えらますが、実務上煩雑になるので資金繰りに余裕がある場合はキャッシュアウトを伴っても譲渡のほうが望ましいと思います)しか方法はないと思われます。
実務上、よくひっかかるバーは配偶者の議決権割合です。中小企業においては配偶者の議決権所有持分が多いことが非常に多く、このバーをクリアしないと、適用除外の恐れもあります。

通常、これに対する方策としては

①第1種特例贈与・相続の前段階で配偶者の持分割合を極力減少させておく(一般的には配偶者から先代経営者への株式譲渡・贈与でしょう)

②資本構成を変更してよいのであれば合併

③第1種特例贈与・相続の次にすかさず「同一事業年度で」配偶者からの第2種贈与・相続を行う(期をまたいだ場合、特例経営承継期間が理論上、最大3本異なる期間に生じるおそれがあるため)

が考えられるでしょう。


※コラムに関するご質問は受付しておりません。予めご了承ください。



あわせて読みたい!
【事業承継税制(特例)】代表権返上と法基通9-2-32との関係、「資本金、資本準備金を減少した場合」の意義金融機関交渉Q&A vol.60



サービスのご案内
事業承継支援サービス日税M&A総合サービスメールマガジンのご登録



免責事項について
当社は、当サイト上の文書およびその内容に関し、細心の注意を払ってはおりますが、いかなる保証をするものではありません。万一当サイト上の文書の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いかねます。
当サイト上の文書および内容は、予告なく変更・削除する場合がございます。また、当サイトの運営を中断または中止する場合がございます。予めご了承ください。
利用者の閲覧環境(OS、ブラウザ等)により、当サイトの表示レイアウト等が影響を受けることがあります。
当サイトは、当サイトの外部のリンク先ウェブサイトの内容及び安全性を保証するものではありません。万が一、リンク先のウェブサイトの訪問によりトラブルが発生した場合でも、当サイトではその責任を負いません。
当サイトのご利用により利用者が損害を受けた場合、当社に帰責事由がない限り当社はいかなる責任も負いません。


伊藤 俊一

税理士
伊藤俊一税理士事務所 代表税理士。
1978年(昭和53年)愛知県生まれ。税理士試験5科目合格。
一橋大学大学院修士。都内コンサルティング会社にて某メガバンク案件に係る事業承継・少数株主からの株式集約(中小企業の資本政策)・相続税・地主様の土地有効活用コンサルティングは勤務時代から通算すると数百件のスキーム立案実行を経験。現在、厚生労働省ファイナンシャル・プランニング技能検定試験委員。
現在、一橋大学大学院国際企業戦略研究科博士課程(専攻:租税法)在学中。信託法学会所属。