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2019.03.27産業情報

プロシューマーを取り込む電力ビジネスモデル④~日本での分散型リソースを活用するビジネスモデルの構築に向けて~

  • Mizuho Short Industry Focus
  • 経済情報

Mizuho Short Industry Focus 170号
プロシューマーを取り込む電力ビジネスモデル④~日本での分散型リソースを活用するビジネスモデルの構築に向けて~

2019年3月19日 発行

【要約】

◆住宅用太陽光発電設備等を自宅に設置するプロシューマーを取り込む電力ビジネスモデルとして、米国ではTPOモデル、ドイツではクラウド・コミュニティモデルの普及が見られる。


◆両モデルが普及する背景にある共通点は、グリッドパリティ(太陽光発電の 1kWh あたりの単価が電気料金を下回る状況)の達成と、20 年以上に及ぶ設備のライフタイムに応じた買取期間を定める余剰電力買取制度が挙げられる。


◆一方、両国のモデルに差異が生じた理由には、顧客の抱える課題が異なる点と、余剰電力の買取価格水準の違いが挙げられる。米国では、住宅用太陽光発電の導入価格が高いという課題に対して、顧客の初期費用を抑えつつ、余剰電力の買取価格を電気料金水準とするNet Energy Metering制度を活用するTPOモデルが、グリッドパリティ達成後の経済的メリットを実現するソリューションとして普及した。ドイツでは、電気料金が高いという課題に対して、電気料金を大幅に低下させるソリューションとして、蓄電システムを活用し、余剰電力の買取価格が低い住宅用太陽光発電の自家消費量を高めるクラウド・コミュニティモデルが構築され、普及が見られる。


◆日本は、余剰電力の買取制度や電気料金の動向等、米国・ドイツと事業環境が異なる点も多いが、プロシューマーを取り込む電力ビジネスモデルとして3点が考えられる。①パートナーとの提携により全国展開を進める住宅用太陽光発電を活用したオンサイト供給モデルと、②FITの買取期間が終了する住宅用太陽光発電設備を買い取る新たなTPOモデル、③日本での蓄電システムのコスト低減状況に合わせた、蓄電システムを活用するクラウド・コミュニティモデルである。日本の電力インフラの一部として、分散型リソースを長期で安定的に活用できる主力電源としていくような、事業者による新たな取り組みに期待したい。



・・・内容はPDFをご覧ください。

みずほ銀行 産業調査部

※本記事は、みずほ銀行より掲載許可をいただき、同行ホームページで公開されている記事を転載したものです。
https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/index.html