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COLUMN

2019.03.07税務コンサルのポイント

平成31年度税制改正大綱 金融・証券税制の改正

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平成31年度税制改正大綱の個人版、金融・証券税制の改正についてです。

2 金融・証券税制
(1)(中小・個人向け・納税者有利)非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(NISA)について、次の措置を講ずることとなりました(大綱P26~)。

非課税口座を開設している居住者等が一時的な出国により居住者等に該当しないこととなる場合の特例措置を次のとおり講ずることとなりました。

 当該居住者等がその出国の日の前日までに当該非課税口座が開設されている金融商品取引業者等の営業所の長に、

「・その者に係る給与等の支払をする者からの転任の命令その他これに準ずるやむを得ない事由に基因して出国をする旨

・引き続き非課税措置の適用を受けようとする旨

・帰国をした後再び当該非課税口座において非課税上場株式等管理契約又は非課税累積投資契約に基づく上場株式等の受入れを行う旨その他の事項を記載した届出書

(以下「継続適用届出書」といいます。)の提出をしたときは、」

その出国の時から、その者が当該金融商品取引業者等の営業所の長に、

・帰国をした年月日

・当該非課税口座において再び非課税上場株式等管理契約又は非課税累積投資契約に基づく上場株式等の受入れを行わせようとする旨その他の事項を記載した届出書(以下「帰国届出書」といいます。)の提出をする日


・当該継続適用届出書の提出をした日から起算して5年を経過する日の属する年の12月31日

とのいずれか早い日までの間は、その者を居住者等に該当する者とみなして、本措置を引き続き適用することとされました。
 この場合において、当該帰国届出書の提出をする日までは、当該非課税口座に設けられた非課税管理勘定又は累積投資勘定に上場株式等を受け入れることができないこととされました。

 継続適用届出書の提出をした者が当該提出をした日から起算して5年を経過する日の属する年の12月31日までに当該金融商品取引業者等の営業所の長に帰国届出書の提出をしなかった場合には、同日においてその者が当該金融商品取引業者等の営業所の長に非課税口座廃止届出書を提出したものとみなされます。

 その出国につき、国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の対象となる者は、継続適用届出書の提出をすることができないこととされました。

(参考・コメント)

○出国した日から帰国届出書を提出するまでの間に非課税期間が終了する場合に留意が必要です。自動的に課税口座に移管されるものと考えられます。


②(中小・個人向け)居住者等が非課税口座を開設することができる年齢要件をその年1月1日において18歳以上(現行:20歳以上)に引き下げます(大綱P27~)。

③(中小・個人向け)次に掲げる書類の提出に代えて行う電磁的方法による当該書類に記載すべき事項を記録した電磁的記録の提供の際に行うこととされている本人確認の方法について、その者の氏名、生年月日及び住所の記載のある住所等確認書類を提示する方法を加えることとなりました(大綱P27~)。

イ 特定口座以外の他の保管口座への非課税口座内上場株式等移管依頼書
ロ 非課税口座内上場株式等移管依頼書
ハ 未成年者口座非課税口座間移管依頼書

④(中小・個人向け)非課税口座を開設している居住者等は、当該非課税口座にその年に設けられている勘定を変更しようとする場合には、当該非課税口座が開設されている金融商品取引業者等の営業所の長に対し、非課税口座異動届出書の提出ができることとします(大綱P27~)。
 この場合において、当該非課税口座異動届出書を提出する日以前に当該勘定に既に上場株式等の受入れをしているときは、当該金融商品取引業者等の営業所の長は、当該非課税口座異動届出書を受理することができないこととします。

(注)上記②の改正は、平成35年1月1日以後に設けられる非課税口座について適用するとともに、所要の経過措置を講ずることとなりました。

伊藤 俊一

税理士
伊藤俊一税理士事務所 代表税理士。
1978年(昭和53年)愛知県生まれ。税理士試験5科目合格。
一橋大学大学院修士。都内コンサルティング会社にて某メガバンク案件に係る事業承継・少数株主からの株式集約(中小企業の資本政策)・相続税・地主様の土地有効活用コンサルティングは勤務時代から通算すると数百件のスキーム立案実行を経験。現在、厚生労働省ファイナンシャル・プランニング技能検定試験委員。
現在、一橋大学大学院国際企業戦略研究科博士課程(専攻:租税法)在学中。信託法学会所属。