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COLUMN

2019.02.14税務コンサルのポイント

平成31年度住宅ローン減税拡充の補足事項

  • 富裕層コンサル プロフェッショナルへの道
  • 税制改正

■(中小・個人向け・減税)個人住民税における住宅借入金等特別税額控除について、次の措置を講ずることとなりました。
 個人が、住宅の取得等(その対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合の住宅の取得等に限ります。)をして平成31年10月1日から平成32年12月31日までの間に居住の用に供した場合における、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例の適用がある者のうち、
「適用年の11年目から13年目までの各年分の住宅借入金等特別税額控除額から当該年分の所得税額(住宅借入金等特別税額控除の適用がないものとした場合の所得税額とする。)を控除した残額があるものについては、翌年度分の個人住民税において、当該残額に相当する額を当該年分の所得税の課税総所得金額等の額に100分の7を乗じて得た額(最高13.65万円)の控除限度額の範囲内で減額する」
こととなりました(大綱P23)。

 適用年の11年目から13年目までの各年の住宅借入金等特別税額控除額を、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額として、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の適用ができることとします。

イ 一般の住宅(認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅以外の住宅)の場合
次に掲げる金額のいずれか少ない金額

(イ)住宅借入金等の年末残高(4,000万円を限度)×1%

(ロ)〔住宅の取得等の対価の額又は費用の額-当該住宅の取得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等〕(4,000万円を限度)×2%÷3


ロ 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅の場合
次に掲げる金額のいずれか少ない金額

(イ)住宅借入金等の年末残高(5,000万円を限度)×1%

(ロ)〔住宅の取得等の対価の額又は費用の額-当該住宅の取得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等〕(5,000万円を限度)×2%÷3


ハ 東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例の対象となる再建住宅の場合
次に掲げる金額のいずれか少ない金額

(イ)住宅借入金等の年末残高(5,000万円を限度)×1.2%

(ロ)〔住宅の取得等の対価の額又は費用の額-当該住宅の取得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等〕(5,000万円を限度)×2%÷3


(参考・コメント)

○適用要件として「その対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合の住宅の取得等に限ります。」にご留意ください。免税事業者からの取得などは適用外になると想定されます。

○上記算式の「÷3」とは11年目~13年目の3年間について3等分するという考え方です。

上記の算式は要するに、延長された期間、つまり11年目から13年目までの期間の減税の額は、最大で建物の価格の2%分として、実質的に、増税による負担の増加をなくす仕組みです。

その際には、建物価格の2%を3年間で分割した金額と、年末のローン残高の1%にあたる金額とを比べ、どちらか少ないほうが減税の額となります。

○大綱P19~(注2)ロを抜粋します。

「ロ 当該住宅の取得等に関し、補助金等の交付を受ける場合又は直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税等の適用を受ける場合であっても、当該補助金等の額又は当該適用を受けた住宅取得等資金の額を控除しないこととする。」
現行制度と大きく異なる点です。
現行制度は補助金、受贈資金は控除してから計算しますが、上記の通り、拡大部分は控除しません。
なお、現行制度は下記をご確認ください。

(国税庁ホームページから抜粋)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/sozoku/17/08.htm

■住宅取得等資金の贈与と住宅借入金等特別控除との関係
【照会要旨】
 私は、自宅として使用する新築の建売住宅を取得する予定ですが、購入資金には、父から住宅取得のための資金として贈与を受ける金銭と、銀行からの借入金を充てるつもりです。
 父からの贈与について、租税特別措置法第70条の2の規定の適用を受ける場合、租税特別措置法第41条の規定の適用はどのようになりますか。

【回答要旨】
 租税特別措置法第70条の2の規定の適用を受ける場合であっても、租税特別措置法第41条の規定の適用を受けることができますが、同条の規定の適用に当たっては、租税特別措置法第70条の2の規定の適用を受ける額を考慮することとなります。
 租税特別措置法第41条の規定の適用を受ける金額の計算の基礎となる「住宅借入金等の金額の合計額」については、住宅の取得等に係る借入金の金額が住宅の取得等に係る対価の額を超える場合、その住宅の取得等に係る対価の額を「住宅借入金等の金額の合計額」とすることとされています。しかしながら、この「住宅の取得等に係る対価の額」については、租税特別措置法第70条の2の規定の適用を受ける場合には、その適用を受ける贈与に係る金銭の額を「住宅の取得等に係る対価の額」から控除した額となります。
 すなわち、租税特別措置法第41条の規定の適用を受ける金額の計算の基礎となる「住宅借入金等の金額の合計額」は、次の金額のうちいずれか低い金額となります。
①住宅の取得等に係る借入金の金額

②「住宅の取得等に係る対価の額」から租税特別措置法第70条の2の規定の適用を受ける贈与に係る金銭に相当する額を控除した額に相当する金額


【関係法令通達】
・租税特別措置法第41条、第70条の2
・租税特別措置法施行令第26条第5項

伊藤 俊一

税理士
伊藤俊一税理士事務所 代表税理士。
1978年(昭和53年)愛知県生まれ。税理士試験5科目合格。
一橋大学大学院修士。都内コンサルティング会社にて某メガバンク案件に係る事業承継・少数株主からの株式集約(中小企業の資本政策)・相続税・地主様の土地有効活用コンサルティングは勤務時代から通算すると数百件のスキーム立案実行を経験。現在、厚生労働省ファイナンシャル・プランニング技能検定試験委員。
現在、一橋大学大学院国際企業戦略研究科博士課程(専攻:租税法)在学中。信託法学会所属。