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2018.12.11税務情報

相続税の申告書の添付書類の見直し -戸籍謄本はコピーでOK、法定相続情報一覧図での代用もOK-

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 相続税申告書の添付書類としては、平成30年度の税制改正前は「被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍謄本」とされており、原則として原本の提出が義務付けられていました。しかし、相続手続きの際には金融機関や不動産相続登記に関する手続きでも原本の提示を求められることから、戸籍謄本を複数取得する必要があり、納税者の事務負担や費用負担が大きくなるという問題がありました。
 そこで、平成30年度の税制改正により、このような納税者の負担を軽減することを目的として当該添付書類について以下の見直しが行われました。


1.平成30年度税制改正の内容
(1) 法定相続情報一覧図の写しによる代用
 「被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍謄本」に代えて、法定相続情報証明制度における「法定相続情報一覧図の写し」を添付することが認められることとなりました。
 なお、「法定相続情報証明制度」とは、不動産の相続登記を促進することを目的として平成29年5月29日から全国の法務局で運用を開始した制度であり、「法定相続情報一覧図の写し」は当該制度を利用することで、戸籍に基づいて法定相続人が誰であるかについて登記官から証明を受けた書類です(交付に伴い戸籍謄本等の提示が必要になりますが、交付手数料は無料です)。

 ただし、相続税申告において「法定相続情報一覧図の写し」を添付書類とする場合には、次の点に留意する必要があります。
①「図形式」により作成されたものであること

「法定相続情報一覧図の写し」は「図形式」と「列挙形式」により作成することができますが、相続税申告書の添付処理として認められているのは「図形式」のみです。
これは、「列挙形式」の場合では相続人の法定相続分が確認できない部分もあるため、相続税申告書の添付書類として利用する場合には、「図形式」により作成されたものである必要があります。


②実子又は養子のどちらか分かるように記載されたものであること

相続税においては相続人が実子か養子かにより取り扱いが異なる場合があるため、相続税申告書の添付書類として利用する場合には、子の続柄については戸籍上の続柄(長男、長女、養子など)によって記載する方法により作成されたものである必要があります(続柄が単に「子」と記載されているものは使用できません)。


【図表】図形式の「法定相続情報一覧図の写し」のイメージ

 (出典:国税庁ホームページより)

(2) 原本のほか「複写機により複写したもの」を追加
 改正前からの添付書類である「被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍謄本」であっても、新たに追加された「法定相続情報一覧図の写し」であっても、原本に代えて「複写機により複写したもの(コピー)」を相続性申告書の添付書類とすることが認められることとなりました。


2.適用時期
 この相続税申告書に関する添付書類の改正は、平成30年4月1日以後に提出する相続税申告書について適用されます。
 適用時期の判定は相続開始日ではなく相続性申告書の提出日により行われますので留意が必要です。


3.改正による影響
 「法定相続情報一覧図の写し」は「被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍謄本」に比べて書類としての分量が少ないため、多くなりがちな相続税申告書の書類枚数を減らすことができるというメリットがあります。
 また、原本ではなくコピーが添付書類として認められることとなったため、金融機関等の相続手続きにより戸籍謄本の原本の提出が求められたとしても、相続税の申告手続きに影響を及ぼさないというメリットがあります。




当社では、相続税の申告に関するご相談を受け付けております。どうぞお気軽にお問合せください。
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芦川 洋祐

ひのき共同税務会計事務所/芝オフィス代表 税理士平成13年早稲田大学社会科学部卒。デロイトトーマツ税理士法人、太陽グラントソントン税理士法人を経て現職。国内上場企業及び外資系企業に対する税務申告業務から、連結納税コンサルティング業務、事業再編・M&Aに係る税務精査業務、ストラクチャー検討業務、オーナー企業に対する事業承継支援業務などに従事。著書に「中小・オーナー企業の国際税務」(中央経済社)、「第6版 詳解 連結納税Q&A」(共著・清文社)がある。