国税の電子申告・納税システム(e-Tax)の普及も進んできており、国税庁の調べによりますと、2016年度の申告や申請における「法人税申告」のオンライン利用率は79.3%となっております。なお、国税局調査部所管法人(原則資本金の額等が1億円以上の法人)の利用率は56.9%にとどまっています。そこで、2018年度税制改正において「電子情報処理組織による申告の特例」が創設され、大法人の法人税等の電子申告が義務化されました。なお今回は、中小法人等は電子申告義務化の対象になっておりません。ICTの活用の推進、納税環境の整備による納税者の利便性向上、企業の生産性向上、行政手続コストの削減などが狙いとなります。
■電子申告義務化の具体的内容
項目 | 内容 |
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1.対象税目 | 法人税、地方法人税、消費税及び地方消費税、法人住民税、法人事業税などの納税申告書 |
2.対象法人の範囲 | (1)法人税及び地方法人税 ①内国法人のうち、その事業年度開始の時において資本金の額等が1億円を超える法人 ②相互会社、投資法人及び特定目的会社 (2)消費税及び地方消費税 (1)に掲げる法人に加え、国及び地方公共団体 |
3.対象手続 | 確定申告書、中間申告書、仮決算の申告書、修正申告書及び還付申告書 |
4.対象書類 | 申告書及び申告書に添付すべきものとされている書類の全て |
5.適用日 | 2020年4月1日以後に開始する事業年度から適用 ※3月決算法人については、2020年11月30日提出期限となる法人税の中間申告より義務化となります。 |
1.資本金の額等が1億円超であるかどうかの判定時期は、事業年度開始の時になります。
2.義務化の対象法人に該当した場合には、義務化の対象となる事業年度開始の日から1か月以内に所轄税務署長に『e-Taxによる申告の特例に係る届出書』を提出しなければなりません。既に電子申告に対応している法人であっても届出を提出する必要があるので注意が必要です。
3.義務化の対象となる書類には、「申告書に添付すべきものとされている書類の全て」となっておりますので、例えば、法人税における財務諸表、勘定科目内訳明細書や消費税の申告書付表なども対象になります。
施策名 | 内容 |
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提出情報等のスリム化 | ① PDF形式で送信された添付書類の紙原本の保存不要化 |
② 土地収用証明書等の添付省略(保存義務への転換) | |
③ 勘定科目内訳明細書の記載内容の簡素化 | |
データ形式の柔軟化 | ④ 法人税申告書別表(明細記載を要する部分)のデータ形式の柔軟化 |
⑤ 勘定科目内訳明細書のデータ形式の柔軟化 | |
⑥ 財務諸表のデータ形式の柔軟化 | |
提出方法の拡充 | ⑦ e-Taxの送信容量の拡大 |
⑧ 添付書類の提出方法の拡充(光ディスク等による提出) | |
提出先の一元化 | ⑨ 連結納税の承認申請関係書類の提出先の一元化 |
⑩ 連結法人に係る個別帰属額等の届出書の提出先の一元化 | |
⑪ 財務諸表の提出先の一元化 | |
認証手続の簡便化 | ⑫ 法人の代表者から委任を受けた当該法人の役員・社員の電子署名でも可能 |
⑬ 代表者及び経理責任者の自署押印を廃止し、代表者の記名押印に変更 | |
その他 | ⑭ e-Tax受付時間の更なる拡大 |
⑮ 法人番号の入力による法人名称等の自動反映 | |
⑯ 法人税及び地方法人二税の電子申告の共通入力事務の重複排除 |
※本記事は、アクタス税理士法人より掲載許可をいただき、同ホームページにて公開されている記事を転載したものです。
https://www.actus.co.jp/library/knowledge/list.shtml
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