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COLUMN

2018.06.14企業再生・経営

金融機関交渉Q&A vol.32

  • 廃業

本メルマガは、当社「日税主催研修」「日税オンデマンド」でもご活躍いただいている(株)事業パートナーの代表取締役社長・松本光輝先生に300社を超える会社の再生の成功体験をもとに、金融機関交渉に関してQ&A形式でまとめて頂きました。この情報が関与先様へのアドバイスの一助となれば幸いです。




■現状
業種:省エネ空調等の卸・施工を主とした事業
創業後3年間は、何時止めるかとばかり考えていたが、4年目の2011年度は福島原発事故の影響で節電意識が高まり、初めて黒字となる。売上2,000万円で150万円の黒字、2012年度は売上1,500万円で数十万円の黒字であった。
しかし、2013年度、2014年度と1,000万円弱の売上に減り、今期は全くどうしょうもない状況となっている。上期は前年比で売上100万円減、下期の状況によっては挽回可能であったが、下期に入ってから全く動きがなく廃業を考えている。

■質問内容
廃業するにあたり、金融機関からの借り入れが1,000万円(保証協会分2行500万円と政策金融公庫500万円)あるので、個人の不動産を担保に兄弟から借入し全額返済を考えているが、会社への個人貸付(生命保険借入と妻からの借入)が同額程度あり、回収しなければ今後の生活の見通しが立たない。
現在まで、借入返済の滞りはない。どう進めたら良いか?


■アドバイス
整理すると
1. 銀行借入1,000万円(保証協会保証分500万円と日本公庫500万円)
2. 妻からの借入
3. 生命保険会社からの借入
※2と3が併せて1,000万円
合計:2,000万円の借入残

将来の事業の見込みが立たないので廃業したいが、どのようにしたら良いか?との相談。廃業を前提にすると考えなければならないことは、
1 .廃業後の生活の確保
2. 不動産をいかに守るか?
3. 2,000万円の返済はどのようにするか?
上記の順番で考える。

■対策
1. 廃業後の生活の確保
廃業時における借金の残を早急に返済しないで良いと考えて、廃業後は就職するか、新たに事業を起こすか、地方で農業、林業、水産業その他、人手不足の業態で仕事をする。

2. 不動産をいかに守るか?
この不動産が現在の自宅だとすると
①担保に入っていなければ、所有権の移転をして住み続ける。
②担保に入っていれば、リースバックをして住み続ける。
③引越しをして良ければ、売却して精算する。

3. 2,000万円の返済はどのようにするか?
<妻と生命保険会社からの1,000万円の借入について>
1年後に廃業する計画を立てて、その間に妻への返済と生命保険会社への返済は利益を作って行う。機械等の設備も売却して返済に充てる。

<銀行からの1,000万円の借入について>
今から銀行借入と日本公庫の返済はリスケする。保証協会分は代位弁済とする。このリスケによって生じた銀行返済分の余剰資金は、妻や保険会社への返済に充てる。

上記の1~3をしっかりと計画を立てて実行すること。




vol.28以前のコラムは、日税ビジネスサービスのホームページにて、「日税メールステーション」バックナンバーページに掲載しています。
日税メールステーション 『金融機関交渉Q&A』バックナンバー


松本 光輝

株式会社事業パートナー 代表取締役40年にわたり、飲食業を中心に会社経営。バブル崩壊時に25億円の負債を抱え、その後3年半でその負債を解消する。2003年より、事業再生請負人として全国行脚中。この間、依頼先の多くが1~2ヶ月以内に、資金ショートに陥るおそれがあるという危機的状況の中から、1社も倒産させることなく、300社を優に越える会社の再生を成功させる。
◎過去の経験を活かして、中小企業経営者の最高の相談者となるべく、活動を続けている。
◎経営者はもとより、幹部社員の皆様・社員の皆様の声をくみ上げ、共に全社一丸となった再生を達成すべく、全力で取り組んでいる。着手後、30日以内に再生計画を作成して、実行に移している。
◎会社を3年かけて再生させる独自の再生術は、他に類を見ません。