本メルマガは、当社「日税主催研修」「日税オンデマンド」でもご活躍いただいている(株)事業パートナーの代表取締役社長・松本光輝先生に300社を超える会社の再生の成功体験をもとに、金融機関交渉に関してQ&A形式でまとめて頂きました。この情報が関与先様へのアドバイスの一助となれば幸いです。
■現状業種:省エネ空調等の卸・施工を主とした事業
創業後3年間は、何時止めるかとばかり考えていたが、4年目の2011年度は福島原発事故の影響で節電意識が高まり、初めて黒字となる。売上2,000万円で150万円の黒字、2012年度は売上1,500万円で数十万円の黒字であった。
しかし、2013年度、2014年度と1,000万円弱の売上に減り、今期は全くどうしょうもない状況となっている。上期は前年比で売上100万円減、下期の状況によっては挽回可能であったが、下期に入ってから全く動きがなく廃業を考えている。
■質問内容廃業するにあたり、金融機関からの借り入れが1,000万円(保証協会分2行500万円と政策金融公庫500万円)あるので、個人の不動産を担保に兄弟から借入し全額返済を考えているが、会社への個人貸付(生命保険借入と妻からの借入)が同額程度あり、回収しなければ今後の生活の見通しが立たない。
現在まで、借入返済の滞りはない。どう進めたら良いか?
■アドバイス整理すると
1. 銀行借入1,000万円(保証協会保証分500万円と日本公庫500万円)
2. 妻からの借入
3. 生命保険会社からの借入
※2と3が併せて1,000万円
合計:2,000万円の借入残
将来の事業の見込みが立たないので廃業したいが、どのようにしたら良いか?との相談。廃業を前提にすると考えなければならないことは、
1 .廃業後の生活の確保
2. 不動産をいかに守るか?
3. 2,000万円の返済はどのようにするか?
上記の順番で考える。
■対策1. 廃業後の生活の確保廃業時における借金の残を早急に返済しないで良いと考えて、廃業後は就職するか、新たに事業を起こすか、地方で農業、林業、水産業その他、人手不足の業態で仕事をする。
2. 不動産をいかに守るか?この不動産が現在の自宅だとすると
①担保に入っていなければ、所有権の移転をして住み続ける。
②担保に入っていれば、リースバックをして住み続ける。
③引越しをして良ければ、売却して精算する。
3. 2,000万円の返済はどのようにするか?<妻と生命保険会社からの1,000万円の借入について>1年後に廃業する計画を立てて、その間に妻への返済と生命保険会社への返済は利益を作って行う。機械等の設備も売却して返済に充てる。
<銀行からの1,000万円の借入について>今から銀行借入と日本公庫の返済はリスケする。保証協会分は代位弁済とする。このリスケによって生じた銀行返済分の余剰資金は、妻や保険会社への返済に充てる。
上記の1~3をしっかりと計画を立てて実行すること。
vol.28以前のコラムは、日税ビジネスサービスのホームページにて、「日税メールステーション」バックナンバーページに掲載しています。
日税メールステーション 『金融機関交渉Q&A』バックナンバー