Q. 事業承継ストックオプションによる株主間利益移転は可能か?
・発行済株式:2,000株
・1株当たりの発行価額:50,000円
・資本金:10,000万円
・出資者:父
・新株予約権の口数:2,000口
・権利行使により取得可能な株式数:2,000株
・新株予約権の発行価額1 口:5,000円(時価の10%)
・権利行使価格1 口:50,000円
・権利取得者:子
利益積立金額:80,000万円
権利行使により子が10,000万円払込み、50%株式所有。
すなわち、父50%、子50%で各々50,500万円の価値を取得した。
1)上記スキームは問題ないとする説
この法人はたまたま業績好調であっただけで、だめだったら新株予約権の価値は0である。
また、当局から見ても新株予約権の発行状況は毎年の申告書附属資料で分かり得たから問題ない。
2)問題があるとする説
所得税法施行令第84条に権利行使時に取得した株式の時価を基礎として所得税課税を行うとしていること、新株予約権の発行価額が5,000円であったという保証(根拠)はないのだから権利行使時に贈与税課税すべきであるということを論拠として否認。
(注1)税理士法人山田&パートナーズ、優成監査法人、山田ビジネスコンサルティング会社編著者『新株予約権の税・会計・法律の実務Q&A 第7版』(中央経済社 2017年)35~40頁参照。
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税理士
伊藤俊一税理士事務所 代表税理士。
1978年(昭和53年)愛知県生まれ。税理士試験5科目合格。一橋大学大学院修士。都内コンサルティング会社にて某メガバンク案件に係る事業承継・少数株主からの株式集約(中小企業の資本政策)・相続税・地主様の土地有効活用コンサルティングは勤務時代から通算すると数百件のスキーム立案実行を経験。現在、厚生労働省ファイナンシャル・プランニング技能検定試験委員。
現在、一橋大学大学院国際企業戦略研究科博士課程(専攻:租税法)在学中。信託法学会所属。