特定の一般社団法人等の理事が死亡した場合の相続税について、次のような議論があります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
A論(通達や国税庁のQ&A等)
一般社団法人等(公益社団法人その他の一定のものを除く。)の理事である者(当該一般社団法人等の理事でなくなった日から5年を経過していない者を含む。)が死亡した場合において、当該一般社団法人等が特定一般社団法人等(次に掲げる要件のいずれかを満たす一般社団法人等をいう。以下同じ。)に該当するときは、当該特定一般社団法人等が、その死亡した者(以下「被相続人」という。)の相続開始の時における当該特定一般社団法人等の純資産額をその時における同族理事の数に1を加えた数で除して計算した金額に相当する金額を被相続人から遺贈により取得したものとみなして、当該特定一般社団法人等に相続税を課する。
①相続開始の直前における同族理事数の総理事数に占める割合が2分の1を超えること。
②相続開始前5年以内において、同族理事数の総理事数に占める割合が2分の1を超える期間の合計が3年以上であること。
(1) 「相続開始の時における当該特定一般社団法人等の純資産額をその時における同族理事の数に1を加えた数で除して計算した金額に相当する金額を被相続人から遺贈により取得したものとみなして、」とあるのだから、純資産をマイナスにしておけば実質遺贈に係る相続税は生じない。
(2) 「①相続開始の直前における同族理事数の総理事数に占める割合が2分の1を超えること。」とあるから、理事数を増やしておけば問題ない。
~A論の解説~
税理士
伊藤俊一税理士事務所 代表税理士。
1978年(昭和53年)愛知県生まれ。税理士試験5科目合格。一橋大学大学院修士。都内コンサルティング会社にて某メガバンク案件に係る事業承継・少数株主からの株式集約(中小企業の資本政策)・相続税・地主様の土地有効活用コンサルティングは勤務時代から通算すると数百件のスキーム立案実行を経験。現在、厚生労働省ファイナンシャル・プランニング技能検定試験委員。
現在、一橋大学大学院国際企業戦略研究科博士課程(専攻:租税法)在学中。信託法学会所属。