本コラムでは、当社の経験豊富なシニアマネージャーが執筆しております。この情報が関与先様へのアドバイスの一助となれば幸いです。
ここ数年最も多いM&Aの類型で、公表されている件数だけでも圧倒的多数ですが、非公表案件も同程度あるのではないかと言われています。
また、コロナ禍を機に経営者の方々が決断を促され、今後さらに増加すると見込まれます。
コロナ禍により売上高が落ち、資金繰りが悪化した企業が売却を決断したり、国の政策的な緊急融資等を受けられる場合は企業価値が棄損しないうちにスポンサーを探したりする企業が増加しています。
参考:日本政策金融公庫HP該当ページURL
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/covid_19_m.html
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/covid_19_t.html
既存の事業だけでは生き残れない企業、例えば(これはコロナ禍要因ではなく世界的な技術革新が要因ですが)ガソリン車特有の部品を製造していた自動車部品メーカーは電気自動車に必要な部品の開発・製造・販売をするか、さもなくば新たな事業の柱を建てなければ生き残れません。
また、テレワークの定着や時短要請で売上が極端に低迷している外食企業は、例えばワタミが居酒屋だった店舗を焼肉店に転換したり、「ステイホームセット」等のテイクアウトメニューを開発したり、テレビショッピングに進出したりしているように、ビジネスモデルの転換が必要でしょう。(注2)
資本力がある企業は自前でできますが、そうでない企業が業態や業種の転換、事業再構築等のためにM&Aを活用する例がコロナ禍を機に増加傾向となり、経済産業省の『事業再構築補助金』(下記URL①参照)を活用する案件も多々進められています。
上記業種以外でも、異業種企業の買収やベンチャー企業・スタートアップ企業への出資などを通じた成長戦略の実現を目指すM&Aは従前以上に活発になっており、国は税制面でも『経営資源集約化税制』(下記URL②P.27参照)等でこうしたM&Aを支援しています。
参考:経済産業省HP該当ページURL
①https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/index.html
②https://www.meti.go.jp/main/zeisei/zeisei_fy2021/zeisei_k/pdf/zeiseikaisei.pdf
複数の事業を展開する大手企業においては、物言う株主が出現し経営者が株主価値の最大化に主眼を置くようになった20世紀終盤以降、自社の強みを最大化するためのグループ内再編やノンコア事業の売却等の事業再編を目的としたM&Aが継続的に行われています。
従前は各業界の上位企業がマーケットシェア拡大、技術力・調達力・販売力等の向上を目指して行うケースが中心でしたが、昨今はコロナ禍で変化・縮小する市場で生き残りをかけて行われるM&Aが増加しています。
(注1) IN-IN M&A : 日本企業同士のM&A
(注2) ワタミは日本政策投資銀行から劣後ローンを中心に100憶円程度調達(2021/4/23日経新聞朝刊より)
<特別号>2020年のスモールM&Aの動向について―① | ≪M&A道1丁目≫投資ファンドの新しい動きと中小企業M&Aの行方―① |
日税M&A総合サービス | 日税事業承継支援サービス | メールマガジンのご登録 |