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COLUMN

2018.02.09税務コンサルのポイント

不動産所得がある方の確定申告~気をつけるべきチェックポイント~

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 不動産所得がある方が確定申告で気をつけなければならないチェックポイントを復習していきます。


収入を計算するときの必要書類と留意点


□ 不動産収入のある方は家賃収入の内訳書
 ∟不動産業者・管理会社からの家賃明細表

 不動産収入の計上では、未収の家賃も計上するように気を付けてください。
 同じ入金であっても、それは家賃なのか、敷金なのか、礼金・更新料なのかという点は明確にする必要があります。また、消費税課税事業者の場合には家賃と駐車場を区別して集計する点にはご注意を。

その他、以下の点もチェック!

★ 入退去時の処理
★ 駐車料の計上漏れ
★ 敷金の取扱
★ 線下補償の計上漏れ


 アパート・マンションの礼金・更新料収入、駐車場収入が漏れていることが多くあります。住居・駐車場の入退去はきちんと記録して把握しましょう。また、敷金については、退去後の部屋の修繕費等を敷金から充当した場合、修繕費として計上した部分を雑収入として計上する必要があります。
 所有している土地の上空使用料(線下補償金等)は不動産所得になります。原則として、仮にその3年分の使用料を一括で受けとった場合には、それぞれの年分の収入金額として計上しなければなりません。しかし、補償金を受けとった1年目にはきちんとその年分の収益が計上されていても、2年目以降はうっかり計上し忘れてしまったという事例が多いので注意しましょう。

経費を計算するときの必要書類と留意点


□ 固定資産税の名寄帳
□ 償却資産税の領収書
□ 事業税の領収書

□ アパート、マンション、作業所等の建更共済や火災共済の領収書

□ 修繕費の領収書、修繕内容のわかる明細書

修繕費が必要経費に該当するか、減価償却の対象となるのかを検討する必要があります。

□借入金の償還表

利息の部分を必要経費に計上します。

□水道光熱費の領収書

水道光熱費の計上では、自宅の生活費と事業用を区別して、事業用の部分のみ必要経費に計上するようにしてください。


 不動産屋さんを介して管理している方でも、その明細書に記載されている手数料の実態はしっかりつかんでいて下さい。「支払手数料」なのか、「修繕費」なのか、はたまた「雑費」なのか、よくよく読み解いてみると、思わぬ見落としがあるかもしれません。

その他、以下の点もチェック!

★ 固定資産税の処理
★ 共済、保険の処理


 支払った固定資産税について租税公課として計上できるのは、事業用部分に係るもののみです。事業用以外の部分も費用計上してしまっているケースが多いので、名寄せ等で十分に確認することが重要です。
 保険によっては、積立部分と必要経費部分があります。全額を必要経費にしないように気をつけて下さい。

 以上の点に気をつけて、早めに資料を集めて確定申告に備えましょう。


青色申告制度とは?


 青色申告制度とは、一般の記帳より信頼性の高い記帳をし、その帳簿に基づいた正確な申告をする人については、所得の計算等について有利な扱いが受けられる制度です。所得には10種類ありますが、青色申告をすることができる人は、不動産所得、事業所得、山林所得のある人に限られます。
 これらの事業が同一人において行われている場合には、すべての事業について青色申告をしなければなりません。
 青色申告は現金出納帳等の記帳義務がある代わりに、税負担が軽減される以下のような特典が設けられています。

1.特別控除を受けることができます
 青色申告をしている人が受けられる「青色申告特別控除」とは 正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)に従って記帳し、貸借対照表、損益計算書を添付した場合には所得から【最高65万円】、それ以外の青色申告者については、【最高10万円】の控除が受けられるというものです。

2.青色事業専従者の給与が必要経費として認められます
 「青色事業専従者給与」とは、事業主と生計を一にする15歳以上の親族で、専らその事業に従事する者に給与を支払った場合に、その全額を必要経費として事業の収入から差し引くことができるというものです(ただし、その労務の対価として相当と認められる金額に限ります。)

3.純損失が出た場合には3年間繰越して控除できます
 「純損失の繰越控除」は、赤字になった場合、その損失額を翌年以降3年間にわたり各年分の事業所得から差し引いて申告できる制度です。また、前年も青色申告をしている場合は、赤字額を前年に繰り戻し、前年に払った税金の還付を受けることもできます。

4.減価償却費計算の特例があります
 特定の減価償却資産に対し、特別償却や割増償却を行うことができます。

5.更正の制限
 帳簿の調査に基づかない推計課税によって更正を受けることはありません。また、更正を受ける場合には、更正通知書にその理由が付記されます。

伊藤 俊一

税理士
伊藤俊一税理士事務所 代表税理士。
1978年(昭和53年)愛知県生まれ。税理士試験5科目合格。
一橋大学大学院修士。都内コンサルティング会社にて某メガバンク案件に係る事業承継・少数株主からの株式集約(中小企業の資本政策)・相続税・地主様の土地有効活用コンサルティングは勤務時代から通算すると数百件のスキーム立案実行を経験。現在、厚生労働省ファイナンシャル・プランニング技能検定試験委員。
現在、一橋大学大学院国際企業戦略研究科博士課程(専攻:租税法)在学中。信託法学会所属。