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COLUMN

2018.03.20税務コンサルのポイント

税務調査の素朴な疑問(4)~調査の先延ばし、終了時の手続き、調査件数の変化~

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(8)税務調査の素朴な疑問~いろいろ理由をこじつけて調査を先延ばしできるの?~


 忙しいのを理由に調査を先延ばしにできるのか?という素朴な疑問があります。

(1)事前通知段階で忙しさ(納税者・税理士)を理由に先延ばしする場合
 事前通知段階で、納税者もしくは税理士が忙しい時期などの理由で、2~3ヶ月先に調査日を設定することは問題ありません。これは単なる調査官との調整事項ですから、先延ばしの日程でも問題になることはありません。

(2)事前通知で決まった日程をリスケする場合
 調査官が嫌がるという意味で、厄介な問題にはなりえます。法律によると事前通知での決定事項を納税者側から変更する場合は「合理的な理由」が必要です。では「合理的な理由」な理由とは、具体的にどのような場合を指すのでしょうか。これも法律によると2点の理由が認められています。①税務調査を受ける本人自身が仕事関連で多忙、②(納税者ではなく)税理士が多忙というのも調査の延期理由になるということです。


(9)税務調査の素朴な疑問~調査終了時の手続きとは?~


 「調査の終了の際の手続に関する同意書」とは、納税者の同席無く、税務代理人である税理士だけで調査結果を調査官から聞く場合に必要となります。税務調査の結末がどんなものであれ、調査終了の際に必要になるということです。規定では「納税義務者の同意がある場合には」(納税者が不在でも)税理士に対して、調査終了の処理に関して説明・通知できるとされています。ただし、ここで注意が必要なのは、条文上「同意がある場合」とされているのみで、書面が必要とは書かれていません。ですから、税務署から「書面でお願いします」と要請があった場合においては、断ることもできますし、書面を用意する場合は上記同意書の雛形を使えばよいことになります。
 なお、この同意書の取り扱いについては、現時点ではかなり地域差があるようで、実務上求められないケースも多いです。また、当然ですが、そもそも、納税者の同席がある場合はこの書面は必要ないことは理解してください。
 余談ですが、最近の傾向として、税務調査が終了しても、調査終了通知がなかなか来ないとの声をよく聞きます。終了通知をもらわないと、気分的にスッキリしませんよね。やはり、国税通則法が改正され、税務調査の現場が落ち着くにはまだ数年かかりそうです。


(10)税務調査の素朴な疑問~調査の入られやすい決算法人に変化が!?~


 国税通則法の改正前は、次のような通説がありました。調査官が頑張らない4月から6月に法人税申告があたればよいのでは、そうすれば、調査が入られにくいのでは?と。法人税の申告期限は決算日から2か月後です。そこから調査官の手元に回ってくるのが約2か月後です。4月から6月に調査があたらないようにするには単純に逆算すれば12月から2月決算ということになります(12月決算法人は3月決算法人に次いで数が多いので一概には言えないのですが)。もちろん増差がありそうなめぼしい申告書が見当たらない月は1ヶ月でも1年でも遡及して調査します。
 しかし、改正後は、上述の決算期と調査時期の原則を外してでも、国税は調査件数を増やしているということです。調査件数は、特に通則法改正後大幅に減ったのですが、手続き改正後、徐々に調査官が慣れ、効率化を図ることで、また少しずつ増えていくものと予想されています。なお、人事異動前に事前通知を早めているのは現状、法人調査だけのようですが、今後は個人事業主も同じような傾向になるのではないかと思います。

伊藤 俊一

税理士
伊藤俊一税理士事務所 代表税理士。
1978年(昭和53年)愛知県生まれ。税理士試験5科目合格。
一橋大学大学院修士。都内コンサルティング会社にて某メガバンク案件に係る事業承継・少数株主からの株式集約(中小企業の資本政策)・相続税・地主様の土地有効活用コンサルティングは勤務時代から通算すると数百件のスキーム立案実行を経験。現在、厚生労働省ファイナンシャル・プランニング技能検定試験委員。
現在、一橋大学大学院国際企業戦略研究科博士課程(専攻:租税法)在学中。信託法学会所属。