MENU MENU

COLUMN

2021.01.13Actus Newsletter

令和3年度 税制改正(速報)

  • 税制改正


12月10日に「令和3年度税制改正大綱」が公表されました。令和2年1月に新型コロナウィルスの最初の感染者が確認されて以降、コロナ禍の1年となった状況を受けた税制改正となります。今回の改正はウィズコロナ・ポストコロナ後の経済再生やデジタル社会の実現を推進するための税制が盛り込まれることになりました。具体的に目玉となる内容としては、法人課税における「デジタルトランスフォーメーション(DX)投資促進税制」や「繰越欠損金の控除上限の特例」、納税環境整備における「押印義務の見直し」や「電子帳簿保存における要件緩和」などがあります。
増税  減税)

■法人課税

法人課税では、産業競争力の強化に係る措置としてデジタルトランスフォーメーション(DX)投資促進税制の創設、賃上げ及び投資の促進税制や研究開発税制の見直し、繰越欠損金の控除上限の特例など減税措置の多い内容となっています。



項目内容適用期日等
デジタルトランスフォーメーション(DX)投資促進税制
【新設】

○「事業適応計画(仮称)」に基づくソフトウェア等の事業適応設備を取得等して、事業の用に供した場合の特別償却又は税額控除


【適用法人】次の全ての要件を満たす法人

①青色申告法人であること

②産業競争力強化法の改正による「事業適応計画(仮称)」の認定を受けること


【対象資産】

事業適応計画(仮称)の認定を受けたソフトウェア、機械装置、器具備品、ソフトウェアの利用に係る費用(繰延資産)
※対象資産の取得価額の合計300億円が限度


【特別償却または税額控除】

特別償却:取得価額×30%

税額控除:取得価額×3%(※グループ外の事業者とデータ連携する場合は、5%)

控除限度:カーボンニュートラル投資促進税制の税額控除額と合計で法人税額×20%を限度)


【デジタルトランスフォーメーションとは】

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

産業競争力強化法の改正法の施行日~令和5年3月31日までの間に取得し、事業供用
カーボンニュートラル投資促進税制
【新設】

○「中長期環境適応計画(仮称)」に基づく設備等を取得して、事業の用に供した場合の特別償却又は税額控除


【適用法人】次の全ての要件を満たす法人

①青色申告法人であること

②産業競争力強化法の改正による「中長期環境適応計画(仮称)」の認定を受けること


【対象資産】

中長期環境適応計画(仮称)の認定を受けた「中長期環境適応生産性向上設備」又は「中長期環境適応需要開拓製品生産設備」
※対象資産の取得価額の合計500億円が限度


【特別償却または税額控除】

特別償却:取得価額×50%

税額控除:取得価額×5%(※温室効果ガスの削減に著しく資するものは、10%)

控除限度:デジタルトランスフォーメーション投資促進税制の税額控除額と合計で法人税額×20%を限度)


【カーボンニュートラルとは】

「炭素が中立」の意味で地球上の炭素(カーボン)の総量に変動をきたさない、CO2の排出と吸収がプラスマイナスゼロになるようなエネルギー利用のあり方やシステムの社会実装を指す概念

産業競争力強化法の改正法の施行日~令和6年3月31日までの間に取得し、事業供用
研究開発税制
【延長・拡充】

○研究開発税制の改組

1. 総額型と中小企業技術基盤強化税制において、試験研究費の増加割合に応じた税額控除率の見直し

2. 総額型と中小企業技術基盤強化税制における控除上限を、条件を満たせば5%引上げ、最大、法人税額の40%が限度となる

3. オープン・イノベーション型について共同研究・委託研究の相手方の対象範囲の拡充と要件の追加

4. 試験研究費の定義の見直しにより、試験研究費のうち、研究開発費として損金経理をした金額で非試験研究用資産(棚卸資産、固定資産及び繰延資産で、事業供用時に試験研究用に供さないもの)の取得価額に含まれるものも対象とする

(該当例)税務において資産計上される自社利用ソフトウェアに含まれる試験研究費など

令和3年4月1日~令和5年3月31日までの間に開始する事業年度
繰越欠損金の控除上限の特例
【時限措置】

○一定の要件を満たす大法人について、繰越欠損金の控除限度を、所得金額の最大100%とする


特例対象欠損金が生じた事業年度の翌事業年度から最大5年以内
賃上げ及び投資の促進税制
【見直し】

○賃上げ及び投資の促進に係る税制の改組

1. 中小企業者等以外の法人

①賃上げ基準において所得金額の最大100%対象者を継続雇用者から新規雇用者に変更

設備投資基準の廃止

③教育訓練費の判定において前期の金額のみに対する判定に変更

④税額控除額は、新規雇用者に係る給与等に対して控除率

2. 中小企業者等

①賃上げ基準において継続雇用者での判定が不要


〇対象法人別の適用要件と控除額



※1.中小企業者等以外の法人の計算の注意点

新規の雇用者給与等支給額からは、雇用調整助成金及びこれに類するものの額は控除しない


※2.中小企業者等の計算の注意点

賃上げ基準の判定にあたっては、雇用調整助成金及びこれに類するものの額は控除しない

控除率を乗ずる増加額については、雇用調整助成金及びこれに類するものの額は控除する

株式対価M&A促進措置
【新設】

〇株式譲渡損益の繰延べ

会社法の見直しにより創設された「株式交付制度」を利用し、買収対象会社の株主が、株式を買収会社に譲渡し、対価に買収会社の自社株式の交付を受けた場合、株式譲渡損益の課税を繰延べる



※譲渡損益の繰延のためには対価として交付を受ける資産の価額の
うち買収会社の株式の価額が80%以上である場合に限る。

大綱では適用期日等の具体的な明記なし
中小企業の経営資源集約化税制
(中小M&A 税制)
【新設】

〇中小企業事業再編投資損失準備金を積み立てた場合の損金算入


【適用法人】次の全ての要件を満たす法人

①青色申告書を提出する中小企業者

②中小企業等経営強化法の経営力向上計画(経営資源集約化措置(仮称)が記載されたもの)の認定を受けること


【適用法人が他の法人の株式等を取得する要件】

購入による取得に限る

②株式の取得価額が10億円以下の場合に限る

③取得の日を含む事業年度終了の日まで継続保有


【損金算入】

①原則:5年間の据置期間経過後、5年間で均等に取崩し益金算入

②例外:据置期間内に株式売却、簿価減額等を行った場合、対応する金額を取崩し益金算入

中小企業等経営強化法の改正法施行日~令和6年3月31日までの間
主要規定の延長措置

〇中小企業者等の法人税の軽減税率(所得金額年800 万円まで15%)の特例制度


〇中小企業投資促進税制
(一定の設備投資に対し30%特別償却又は7%税額控除)

※要件追加:対象事業として不動産業、物品賃貸業、料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブ等が追加


中小企業経営強化税制
(経営力向上計画による設備投資に対し即時償却又は10%税額控除)

※要件追加:特定経営力向上設備等に追加設備

令和5年3月31日まで延長



■個人所得課税

個人所得課税の改正では住宅ローン控除の延長や退職所得課税の見直しが図られます。
項目内容適用期日等
住宅ローン減税
【拡充】

○消費税率10%の住宅を取得した場合の住宅ローン控除特例の延長

1. 控除期間13 年間となる特例を、住宅の種類に応じた期間内に契約した場合、令和4年12月31日までの入居分に延長



2. 床面積要件の緩和


令和3年1月1日~令和4年12月31日までの間に居住の用に供した場合
退職所得課税の適正化

○勤続5年以下の短期退職者に対する退職金の課税の適正化勤続年数が5年以下の者(特定役員に該当しない者)が支払を受ける退職手当等について、収入金額から退職所得控除額を控除した残額のうち300万円を超える部分に対して、1/2課税を行わない。


(退職手当等の収入金額 - 退職所得控除)

→ 300万円以下の部分:1/2課税あり
→ 300万円超の部分:1/2課税なし

令和4年分以後の所得税に適用
その他

〇医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)の5年延長

※医薬品の範囲について見直し

令和4年分以後の所得税に適用



■資産課税

資産課税においては、教育資金等の一括贈与の期限切れによる延長・見直しが図られました。相続税と贈与税を一体に捉えて課税する制度が議論に上がりましたが、今回の改正では見送られました。
項目内容適用期日等
住宅取得資金贈与
【延長・拡充】

〇適用期限を延長、令和3年4月より縮減予定の非課税枠について縮減をせず据え置く


○非課税枠の据え置き

<消費税率が10%となる住宅の非課税限度額>

令和3年4月~令和3年12月
一般の住宅 改正前700万 → 改正後1,000万円
良質な住宅家屋 改正前1,200万 → 改正後1,500万円


<それ以外の住宅の非課税限度額>

令和3年4月~令和3年12月
一般の住宅 改正前300万 → 改正後 500万円
良質な住宅家屋 改正前800万 → 改正後1,000万円

令和3年1月1日以後の贈与について適用
一括贈与非課税措置の見直し
【延長・強化】

〇教育資金の一括贈与非課税措置の節税利用目的の是正、延長

1. 2年間の延長が行われる

2. 贈与者の教育資金の一括贈与非課税について、未使用の管理残額の全てが相続税の課税対象となる
ただし、死亡の日において受贈者が一定の要件に該当する場合、相続税の課税対象にならない(改正前も同様)
【相続税が非課税となる受贈者の要件(いずれかに該当)】

①受贈者が23歳未満である場合

②受贈者が学校等に在学している場合

③受贈者が教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合

3. 受贈者が孫・ひ孫の場合において、未使用の管理残額に対し相続税が課された場合には、相続税額の2割加算の対象とする
(改正前は適用なし)


〇結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置の見直し

1. 2年間の延長が行われる

2.受贈者が孫・ひ孫の場合において、未使用の管理残額に対し相続税が課された場合には、相続税額の2割加算の対象とする
(改正前は適用なし)

3.受贈者の年齢要件の下限を18歳以上に引き下げる

令和3年4月1日以後の贈与について適用し、適用期間は令和5年3月31日までの2年間
土地の固定資産税の据え置き

〇土地に係る固定資産税・都市計画税の課税標準額の据え置き
評価額が上がり課税標準が上がった場合においても、令和2年度の課税標準と同額とする(据え置き)


〇負担調整措置の継続
負担調整措置は令和3年度から令和5年度までの間、現行の仕組みを継続する

令和3年度限り



令和3年度~令和5年度



■納税環境整備その他
項目内容適用期日等
押印義務の見直し

○一定の税務関係書類を除き、原則、押印を不要とする


(押印手続きを必要とするもの)

実印及び印鑑証明書の添付を要する書類

担保提供関係書類、物納手続関係書類、遺産分割協議書


※ 押印不要の税務関係書類について、施行日前においても、運用上、押印がなくても、改めて押印は求められない

令和3年4月1日以後に提出する税務関係書類について適用
電子帳簿等保存制度の見直し
【大幅緩和】

○国税関係「帳簿書類」の電磁的記録等による保存制度の見直し

1. 承認制度の廃止

2. 正規の簿記の原則に従って記録される国税関係帳簿書類について、自己が一貫して電子計算機を使用して作成する場合で、次の要件を満たす場合、電磁的記録の保存を行うことができる。

①電子計算機のシステム関係書類を備え付けている

②電子計算機、プログラム、ディスプレイ、プリンタ及びこれの操作説明書を備え付け、ディスプレイ画面等に、整然かつ明瞭に、速やかに出力できること

③税務職員が質問検査権に基づき国税関係帳簿書類の電磁的記録のダウンロードを求めた場合に、これに応じること

3. 現行の要件をすべて満たし、その旨を届出た者について、その電子帳簿(優良電子帳簿)に関連して過少申告があった場合には、過少申告加算税を5%軽減する

4. 検索要件の緩和
【現行の検索要件】

①取引年月日その他日付、取引金額その他主要な記録項目で検索

②日付又は金額の範囲を指定して検索

③2以上の任意の項目を組み合わせて検索

【改正後の検索要件】

①の検索要件は「日付、金額、取引先」に限定

②③は、税務調査の質問検査権に基づくデータのダウンロードの求めに応じる場合には不要


〇国税関係「書類」に係るスキャナ保存制度の見直し

1. 承認制度の廃止

2. タイムスタンプ要件の緩和

①付与期間
改正前:概ね3営業日以内 → 改正後:記録事項の入力期間

(最長約2ヵ月)

②国税関係書類への自署を不要

③訂正又は削除の事実及び内容を確認できるシステム(訂正又は削除を行うことができないシステムを含む)に保存する場合は、タイムスタンプを不要とする

3.適正事務処理要件の廃止(相互けん制、定期検査が不要になる)

4. 検索要件の緩和
上記、国税関係「帳簿書類」の改正内容と同じ

5. 電磁的記録の改ざん等の隠ぺい又は仮装があった場合の重加算税について+10%の加重措置


〇電子取引に係る電磁的記録の保存制度の見直し

1. タイムスタンプ要件の緩和
タイムスタンプ付与期間を、スキャナ保存制度の期間と同じくし、最長2ヵ月以内に統一

2. 検索要件の緩和
上記、国税関係「帳簿書類」の改正内容と同じ
さらに、判定期間の売上高が1,000万円以下の事業者等で、税務調査の質問検査権に基づくデータのダウンロードの求めに応じる場合には、検索要件の全てを不要とする

3.電磁的記録の改ざん等の隠ぺい又は仮装があった場合の重加算税について+10%の加重措置

令和4年1月1日から施行
納税等手続きの簡素化

○スマホ使用した決済サービスによる納付手続きの創設
国税納付についてスマホのアプリ決済サービス(○○pay等)を使用することを可能にしていく


〇国外からの納付方法の拡充


〇e-Taxによる申請等の方法の拡充
e-Taxの入力方式に対応していない申請等について、書面による提出に代えて、PDFのイメージデータを送信することにより提出を行うことを可能とする

令和4年1月4日以後に納付する国税から適用



令和3年4月1日以後に行う申請等から適用
クラウド等を利用した法定調書の提出方法の整備

〇クラウド等を利用した法定調書の提出
法定調書を提出する者が、あらかじめ税務署長に届け出た場合には、認定を受けたクラウド等に備え付けられたファイルに法定調書のデータを記録し、かつ、税務署に法定調書のデータ閲覧権限等を付与する方法で、法定調書の提出を可能とする

令和4年1月1日以後に提出する法定調書について適用





※コラムに関するご質問は受付しておりません。予めご了承ください。



あわせて読みたい!
令和2年度 税制改正(速報)【Actus Newsletter】平成31年度 税制改正(速報)【Actus Newsletter】



サービスのご案内
日税従業員持株会設立・運営支援サービス日税事業承継支援サービスメールマガジンのご登録




※本記事は、アクタス税理士法人より掲載許可をいただき、同ホームページにて公開されている記事を転載したものです。
https://www.actus.co.jp/library/knowledge/list.shtml




免責事項について
当社は、当サイト上の文書およびその内容に関し、細心の注意を払ってはおりますが、いかなる保証をするものではありません。万一当サイト上の文書の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いかねます。
当サイト上の文書および内容は、予告なく変更・削除する場合がございます。また、当サイトの運営を中断または中止する場合がございます。予めご了承ください。
利用者の閲覧環境(OS、ブラウザ等)により、当サイトの表示レイアウト等が影響を受けることがあります。
当サイトは、当サイトの外部のリンク先ウェブサイトの内容及び安全性を保証するものではありません。万が一、リンク先のウェブサイトの訪問によりトラブルが発生した場合でも、当サイトではその責任を負いません。
当サイトのご利用により利用者が損害を受けた場合、当社に帰責事由がない限り当社はいかなる責任も負いません。

アクタス税理士法人

アクタスは、税理士、公認会計士、社会保険労務士など約140名で構成する会計事務所グループです。
オフィスは、東京の赤坂・荒川・立川・大阪・長野の5拠点。
中核となる「アクタス税理士法人」では、税務申告、連結納税、国際税務、相続税申告など専門性の高い税務コンサルを提供しています。経営コンサルの「アクタスマネジメントサービス」、人事労務業務の「アクタス社会保険労務士法人」、システムコンサルの「アクタスITソリューションズ」の4つの組織が有機的に連携し、経理、人事、総務業務に対するワンストップサービスを提供しています。
「常にお客様の立場で考え、独創的な発想で、満足度の高いサービスを提供し、お客様の成長と発展のために行動する」ことをモットーとしています。

[連絡先]
アクタス税理士法人
〒107-0052 東京都港区赤坂3-2-6 赤坂中央ビル7F
電話 03-3224-8888  FAX 03-5575-3331
URL: http://www.actus.co.jp/  Mail:info@actus.co.jp