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COLUMN

2020.11.19税務コンサルのポイント

【事業承継税制(特例)】事業承継税制(特例)に係る事前説明責任について―①

  • 富裕層コンサルのイロハ
  • 事業承継税制

Q. 事業承継税制(特例)に係る事前説明責任について

事業承継税制(特例)について導入時のクライアントに対する説明責任及びこちら側(税理士側)でのチェック事項を列挙してください。


Answer

以下の内容が考えられます。

【解説】

1.事前のアカウンタビィティについて

いったん適用を受けたら半永久的に適用を受け続けることになります。
例えば、特例が当初予定通り時限立法となり、一般しか制度が残らなくなった場合、特例対象株式以降の株式は一般により従来型の事業承継税制の適用を受けざるを得ないことになります。
また、ある程度の規模感がある中小企業では機動的な資本政策も困難になるでしょう。
したがって、

①納税猶予適用時に従来型の自社株式引き下げ策で株価を落としておく
(納税猶予額を可能な限り低減させておく)

②いつでも打消事由に該当した時に対応できるよう、納税猶予対象の税額は内部留保しておく

ことは必須でしょう。

2.相続税の納税猶予スタートの際には遺言書の作成は必須

相続税の場合、後継者の主な要件に相続開始から5 か月以内に代表者就任、相続開始後8 か月以内に認定申請という非常にタイトなスケジュールのため、予め遺言書の作成をしておくことは必須となります。
なお、仮に遺言書なく遺産分割協議に持ち込まれても納税猶予対象株式のみの分割がなされていれば認定申請できます。

3.第三者からの贈与・相続

第2種特例贈与者が亡くなった場合に

①株式の納税は猶予されますが、固有の財産や株式も含めて相続税が計算されるため、相続税が高くなる可能性がある

②株式も分割協議が必要なため、特例贈与者が遺産分割協議に参加することになる

③本来は配当還元方式で評価可能であった者が、その者死亡時の相続税申告で相続税評価原則で評価されることになる

ことに留意が必要です。


 ・・・つづきは次回、『【事業承継税制(特例)】事業承継税制(特例)に係る事前説明責任について―②』でお送りいたします。


※コラムに関するご質問は受付しておりません。予めご了承ください。



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伊藤 俊一

税理士
伊藤俊一税理士事務所 代表税理士。
1978年(昭和53年)愛知県生まれ。税理士試験5科目合格。
一橋大学大学院修士。都内コンサルティング会社にて某メガバンク案件に係る事業承継・少数株主からの株式集約(中小企業の資本政策)・相続税・地主様の土地有効活用コンサルティングは勤務時代から通算すると数百件のスキーム立案実行を経験。現在、厚生労働省ファイナンシャル・プランニング技能検定試験委員。
現在、一橋大学大学院国際企業戦略研究科博士課程(専攻:租税法)在学中。信託法学会所属。