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COLUMN

2020.10.27中小企業とM&A

<事例編・第5号>M&Aの時期と準備について―①【vol.32】

  • M&A

本コラムでは、当社の経験豊富なシニアマネージャーが過去に携わったM&A案件を事例としてご紹介いたします。この情報が関与先様へのアドバイスの一助となれば幸いです。




私達がM&Aのアドバイザリー業務を手掛ける中で企業オーナーからよく尋ねられる質問として、M&Aで会社や事業を売却する時期はいつ頃が適切なのかというものがあります。

会社を譲り受ける側は状態の良いものを買いたいので、買収対象となる事業から今後も収益が期待できる状態であることが望ましいということになります。
一方、譲り渡す事業主の立場からすれば、経営する会社が今後も収益が期待できる状況であれば特に売却する必要性を感じないので、収益の状況が悪化し始めたり、病気や怪我で経営者として継続出来なくなったり、後継者が見つからないという局面にならないと売却という考えには至りにくいと言えます。

買手側と売手側ではM&Aを用いようとする背景はそもそも異なるわけです。
日々の市場ではM&A成約のニュースを次から次へと目にしますから、事業主によっては、いざという時にはM&Aで会社を売却すればよく、それまでは可能な限り現状の延長線上で頑張ればよいとの考えになりがちかもしれませんが、M&Aを成功させる為には日頃からの準備がとても大切です。

具体的な例をご紹介します。前職時代のお話ですが、ある化成品製造業のA社は、10年以上前から業績が下降傾向にあり、会社の規模を縮小しながら何とか経営を継続してきました。
しかし、経営者の子息には会社を承継する気はなく、更には経営者自身も病気のために以前のようには働けなくなってしまい、とうとう会社の譲渡を決断しました。

相談を受けた私達は、会社の状況を確認しましたが、譲渡は難しいとの印象を受けました。設備更新が出来ていないこともあって製造能力は時代に追い付けず、取引先も売上高も減少してきたことが読み取れました。
従業員の殆どを削減するなど、コストの合理化によって大きく切り詰めてきたのですが、営業利益は赤字であり、キャッシュフロー創出能力を期待する事が出来ません。

一般に企業価値を評価する場合、キャッシュフローに頼れない場合には資産価値に着目してアプローチすることになります。しかしこの点においても同社の場合、機械設備がかなり古く、近年のものと比較すると製造能力は見劣りしていますし、工場の立地条件も良くありません。これでは、買手側にとって事業として買収を検討する意義を見出すのは難しいと言わざるを得ません。


 ・・・つづきは次回、『<事例編・第5号>M&Aの時期と準備について―②』でお送りいたします。






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