こんにちは、クリスク・タイのパーです!
新型コロナウイルスの影響で人々が外出を避けがちになったため、マーケティング活動の中でオンラインマーケティングは今までよりもさらに効率的かつ重要な手法になったことでしょう。
そこで今回紹介するマーケティング手法は、タイはもちろんのこと世界でも大人気な「ライブコマース」です。
ライブコマースとは?
ライブコマースとは、ライブ動画配信で紹介した商品を、視聴者がリアルタイムに購入できるといったものです。
テレビの通販番組に似ていますが、アプリやSNSの配信を使うことによって、視聴者からの質問にリアルタイムで答えられ、配信しているSNSなどからすぐに商品を購入できるのが特徴です。
タイではライブコマースが、FacebookやInstagramといった人気SNSプラットフォームでよく行われており、売上効果が期待出来るマーケティング手法の一つとして認識されています。
新型コロナウイルスが拡大する以前から、タイの中小企業にはとても人気の手法でした。しかし、外出自粛でサインボードなどの屋外広告の効果が少なくなると、
大手企業でもライブコマースを利用したマーケティング活動を行う企業が増えてきました。
ライブコマースはタイではどれぐらい人気がある?
2016年にタイでFacebookのライブ機能が開始されました。SNSが大好きで、その機能を活かしてソーシャルコマース(個人間での売買)を行っているタイ人にこの機能が非常に好評でした。
その結果、2018年には開始からの1年間と比較して、Facebookページの利用率が1.5倍ほどに成長しました。
また、タイでも多くの人が利用している東南アジア最大級のEマーケットプレイスShopeeは、「Shopee Live」というライブコマース機能を2019年3月から設置しました。
Shopeeの2019年9月の発表によると、300万人ほどがこのライブコマース機能を使用し、合計の視聴回数は200万回以上に上るそうです。
Shopeeのライブコマース「Shopee Live」画面アジアでライブストリーミングサービス「17 Live」を提供するM17 Entertainmentによると、2020年のライブコマースがタイのEマーケットプレイスとSNSの視聴のうち10%を占め、2360億バーツ(約8020億円)ほどの合計収益になると想定されています。
また、2021年にはライブコマースの売上が2倍以上に成長すると期待しているそうです。
コロナの影響による変化は?
新型コロナウイルスの影響により、タイでもeコマースは盛況です。WeAreSocialとHootsuiteが発行したレポートによると、タイでは4月のeコマースの売上が全ての小売業の10%を占めています。
中でもライブコマースの成長度合いは大きく、ソーシャルコマース用AIサービス会社・Shoplusの発表によると、2020年3~4月にかけて、タイのFacebook上のライブコマースは200%以上成長。
そして、販売率は59%増加して、商品単価も84%も上がったことが分かりました。
参考)
https://positioningmag.com/1251077https://mgronline.com/cyberbiz/detail/9630000009985https://positioningmag.com/1276336
コロナの影響による変化は?
ライブコマースは、タイだけでなく世界的に成長が期待出来るマーケティング手法の一つには違いありません。
しかし、どうしてタイでは中小企業から大きな企業まで、こんなにライブコマースが人気を得ているのでしょう?
筆者が分析した内容を紹介していきます。
【理由1】中小企業が行いやすい
ライブコマースを行うには、
大きなリソースとコストがかかりません。誰もが持っているスマートフォンと商品さえあれば、中小企業もライブコマースを開始できてしまいます。そして、どこでもいつでも出来るのでとても便利です。
【理由2】 既存の広告と違う体験を与えられる
プロモーション用の動画や画像のような、これまで行われてきた既存の広告手法・メディアにユーザーは飽き始めています。そのようなユーザーにとって、
ライブコマースはもっとリアルで、違う体験要素があるのです。
いつも画像や動画などのコンテンツを出している大きな企業も、雰囲気を変えてライブ配信することで注目を集めることが出来ます。
【理由3】 対話要素がタイ人の好み
タイ人は元々、会話型コマース(LINEやFacebookのメッセンジャーなど、リアルタイムなチャットを通してのEコマース)が好きで、同じくリアルタイムで対話可能なライブ機能が大好きなのです。
そのため、販売者は語るだけの動画ではなく、ちゃんと視聴者からのコメントに反応をすることが必須です。そして、販売者とユーザーとの会話自体をエンターテインメントとして楽しむ人もいます。その人達はあとで購入する可能性もあるかもしれません。
【理由4】 商品の信頼性が得られる
ライブ上では、販売者がユーザーからのコメント欄の質問などに対応して、要求された商品の情報を提供したり、よく分からない実際の使用方法や商品の品質を試して見せることが出来ます。
それにより、視聴者に商品やサービスへの信頼性を与えらます。【理由5】 興味・関心層から商品購買層に変えられる
ライブコマースは、
視聴者から購入者へと誘導する手法として、とても優れています。その理由は、ライブの視聴者は商品・サービスに関する興味が高いと考えられるからです。
商品に興味のある視聴者に対して、プレゼンの仕方やエンターテインメントスキルを活用して、ライブコマースで最後のプッシュを行い、購入を促すことが出来ます。
【理由6】 リアルタイムでフィードバック対応が可能
今の時代は、ユーザーはすぐにフィードバックがもらえないと他のお店(商品)に行ってしまいます。メッセンジャーやチャットでタイムリーに返信しようと頑張っても、必ず漏れがあるはずです。しかし、ライブコマースでは
リアルタイムで、ユーザーへのフィードバックが確認可能。そして、ユーザーからの質問は、販売者にとっては商品・サービスの
改善やデータ収集にも役に立たせることができます。【理由7】 トレンドに沿ったコンテンツを作れる
トレンドに沿った新鮮なコンテンツはとても反応がもらいやすいです。しかし、通常のプロモーションで使用するような画像や動画コンテンツを新しく作成するには、制作する時間とクリエイティブチームなどの労力も必要です。しかし、ライブ動画配信では、発信者によってトレンドを盛り込んだ新鮮で
リアルタイムなコンテンツを提供することが可能です。
つまり、ライブコマースによって、トレンドに沿った新鮮で面白いコンテンツを提供でき、ユーザーの興味を持たせられます。
コロナの影響による変化は?
ここからは、タイでライブコマースによって人気を博しているサービスを紹介していきます。
Hasun Dried Seafood
タイのライブコマースの人気に火をつけたと言っても過言ではない人物。それは「Hasun」(ハサン)というタイのシーフードの販売店の漁師さんです。彼はライブコマースで、なんと月に2000万バーツ以上を稼ぐそうです。
彼は漁師の習慣などを活かして、ライブしながら後ろにいる漁師の部下に掛け声を出し合ってもらい、視聴者を楽しませます。彼の独特なライブのやり方はとても新鮮で、人気があります。そして、彼の有名セリフがインターネット上で流行り、ニュースにも特集コンテンツとして紹介されました。
Bar B Q Plaza
タイの有名な焼き肉&ホットポットレストランのチェーン店ブランドです。
新型コロナウイルスの影響で閉鎖状態に悩まされていた色んなレストランの中で、Bar B Q Plazaは、「バービーゴン」という人気マスコットキャラクターが料理するライブを出して、お店の特別なソースと豚肉を販売しました。
商品はあっという間に売り切れ。視聴者の注目を集めたことで、ブランドの配達メニューやデリバリーサービスのPRにも繋げることに成功しました。
Lazada
Lazadaは2019年に「Lazada Livestream Competition x Fashionista」というキャンペーンを出して、ライブコマースのワークショップと、ライブコマース大会を行いました。
この大会のワークショップキャンペーンは、ライブ機能をPR出来ると同時に、アプリの新しいKOLの育成にも繋がりました。
SuperSports
タイの財閥「Central Group」が経営しているスポーツ用品店では、新型コロナウイルスの影響で出かけることを避けている人のために、「外出しなくてもスポーツ用品が購入出来る」というテーマのライブコマースを頻繫に出しています。
トークが上手なMCと、ライブ中限定のプロモーションが人気のポイントです。
Kiehls
デパートにあるような高級品ブランドも、ライブコマースを一つのマーケティング戦術として利用しています。Kiehlsは、現在放送中のドラマの人気俳優とコラボしてライブを行いました。
インタビュー、商品に関する知識、そしてライブ視聴者限定参加のプレゼントキャンペーンの他、ライブの日のみ使用可能な特別プロモーションを出して、商品が販売されているECアプリのShopeeに視聴者を誘導しました。
まとめ
ライブコマースは効率的な手段であるため、これからも需要が増していくと予想されています。
タイ人はSNSや、対話要素が好きなため、会話から生まれる楽しさやリアルタイムな情報などがライブコマースの魅力としてタイ人に好まれると考えられます。
これから成長していくEコマースの時代に、マーケッターは消費者のインサイトや習慣を理解して、状況に合ったマーケティング企画を生み出すことがマストです。
皆さんも、タイ人消費者が好んでるライブコマースの要素を理解して、自分のビジネス用のマーケティングプランを、是非デザインしてみて下さい!
(編集:きたざわあいこ)
この記事を書いたのは・・・
クリスク・タイスタッフ PanidaRugsaj/パニダー・ラックサット
※本記事は、株式会社クリスクより掲載許可をいただき、同ホームページにて公開されている記事を転載したものです。
▼今回の元記事
「ライブコマース」がタイで人気!その理由と活用事例
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