今回からは、その他みなし贈与が生じる可能性がある諸論点について取り上げていきます。
1 その他のみなし贈与が生じる可能性がある諸論点
(1) 民法組合、LLP、投資事業有限責任組合(LPS)等
これらの組合員の組合事業に係る利益の額又は損失の額は、その民法組合等の利益の額又は損失の額のうち分配割合に応じて利益の配分を受けるべき金額又は損失を負担すべき金額とするとされています(所基通36、37共―19)。
しかし、組合員間の利益移転、資産移転を目的とする契約等、単に特定の組合員の税負担軽減を目的としているとみなされた場合は当然ながらみなし贈与の対象になると想定されます。
税理士法人等士業法人や一定の医療法人についてもみなし贈与発動可能性があることは「属人株による利益移転」で先述した通りです。
(2) 中小企業のMEBOの手法におけるみなし贈与発動可能性
中小企業のMEBO の基本的な手法は
(STEP1)後継者(役員、従業員)による持株会社設立
(STEP2) 現オーナーを含む本体会社の株主が(STEP1)で設立された持株会社に株式を売却(持株会社の買収金額は外部調達が通常)
(STEP3)(STEP1)の持株会社と本体会社を合併
です。発行済株式500株、1株発行価額2,000円、資本金1,000,000円をオーナーが払込み。
②設立直後に新株予約権を付与口数500口、権利行使により取得できる株式500株、発行価額1口200円、権利行使価額1口2,000円、権利行使者は後継者。
③5年後のB/S内部留保は1,000,000円
④権利行使結果として2,000,000円の企業価値ある会社の50%価値分をオーナー、50%価値分を後継者が取得。
この価値移転分については新株予約権の発行価額200円が公正な発行価格であったという保証がなく、贈与税課税すべきという意見もあります。(注1)税理士法人山田&パートナーズ、優成監査法人、山田ビジネスコンサルティング会社編著者「新株予約権の税・会計・法律の実務Q&A第7 版」中央経済社(2017年)35頁~40頁参照
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税理士
伊藤俊一税理士事務所 代表税理士。
1978年(昭和53年)愛知県生まれ。税理士試験5科目合格。一橋大学大学院修士。都内コンサルティング会社にて某メガバンク案件に係る事業承継・少数株主からの株式集約(中小企業の資本政策)・相続税・地主様の土地有効活用コンサルティングは勤務時代から通算すると数百件のスキーム立案実行を経験。現在、厚生労働省ファイナンシャル・プランニング技能検定試験委員。
現在、一橋大学大学院国際企業戦略研究科博士課程(専攻:租税法)在学中。信託法学会所属。