今回から、純資産のほとんどが自社株式である企業オーナー系の資産家について考えます。
まずは、自社株式(取引相場のない株式)の評価方法をきちんと把握しましょう。
取引相場のない株式(上場株式、登録銘柄、店頭管理銘柄及び公開途上にある株式以外の株式をいいます。)は、相続や贈与などで株式を取得した株主が、その株式を発行した会社の経営支配力を持っている同族株主か、それ以外の株主等かの区分により、それぞれ原則的評価方式又は特例的な評価方式の配当還元方式により評価します。
1. 原則的評価方式
2. 特例的な評価方式
3. 特定の評価会社の株式の評価
(1)類似業種比準方式で評価する場合の3つの比準要素である配当金額、利益金額及び簿価純資産価額のうち直前期末の要素のいずれか2つがゼロであり、かつ、直前々期末の要素のいずれか2つ以上がゼロである会社(比準要素数1の会社)
(2)総資産価額中に占める株式や出資の価額の合計額の割合が一定の割合以上の会社(株式保有特定会社)
(3)総資産価額中に占める土地などの価額の合計額の割合が一定の割合以上の会社(土地保有特定会社)
(4)課税時期(相続の場合は被相続人の死亡の日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)において開業後の経過年数が3年未満の会社や、類似業種比準方式で評価する場合の3つの比準要素である配当金額、利益金額及び簿価純資産価額の直前期末の要素がいずれもゼロである会社(開業後3年未満の会社等)
(5)開業前又は休業中の会社
(6)清算中の会社
税理士
伊藤俊一税理士事務所 代表税理士。
1978年(昭和53年)愛知県生まれ。税理士試験5科目合格。一橋大学大学院修士。都内コンサルティング会社にて某メガバンク案件に係る事業承継・少数株主からの株式集約(中小企業の資本政策)・相続税・地主様の土地有効活用コンサルティングは勤務時代から通算すると数百件のスキーム立案実行を経験。現在、厚生労働省ファイナンシャル・プランニング技能検定試験委員。
現在、一橋大学大学院国際企業戦略研究科博士課程(専攻:租税法)在学中。信託法学会所属。