COLUMN

Mizuho Short Industry Focus 176号
毎年薬価改定の開始で厳しさを増す国内医薬品市場 ～中堅製薬企業に求められる戦略の方向性～
2019年11月14日 発行

【要約】

◆グローバル医薬品市場を概観すると、欧米先進国では、がん分野のけん引により成長し、新興国では、近年の所得水準向上から市場が急拡大している。一方で、国内医薬品市場に目を転じると、社会保障給付費の削減が急務のため、2019 年度から毎年薬価改定が始まることから、市場は縮小に向かうものと思われる。

◆大手製薬企業は、海外企業の買収によるパイプラインの獲得や海外市場の販路拡大に取り組んでいる。また、準大手製薬企業も、海外企業への製品導出¹などにより、国内市場へ依存しない体制を構築しようとしている。

◆中堅製薬企業²を領域特化型と領域複数型に分類すると、前者は特定領域での新薬開発、後者は事業効率化により現状ではその利益水準を維持しているが、徐々に利益率が低下しつつある。

◆かかる中、領域特化型には、引き続きパイプラインの拡充と新たなモダリティ³への挑戦が求められる。領域複数型には、コスト削減により研究開発資金を確保することが必要となる。そして、両者ともに、国内で稼ぐモデルから海外で稼ぐモデルへの転換が重要である。特に、現地企業への製品導出や国内商社との連携強化の方法で、規制緩和の進んでいる中国市場への取り組みを強化することが考えられる。