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COLUMN

2020.01.21企業再生・経営

金融機関交渉Q&A vol.48

  • 資金繰り
  • 廃業
  • 起業

本コラムは、当社「日税主催研修」「日税オンデマンド」でも講師としてご活躍いただいている(株)事業パートナーの代表取締役社長・松本光輝先生に、300社を超える会社の再生の成功体験をもとに、金融機関交渉に関してQ&A形式でまとめて頂きました。この情報が関与先様へのアドバイスの一助となれば幸いです。



■現状
●業種:建設業、社長58歳
●相談者:社長の弟

社長は病気の為に入院中、宗教にのめり込み2億円以上の銀行からの借入がある。従業員は10名で主要事業の売上が2億円、その他2つの事業で2億円の売上がある。
以前は、年間5,000万円から7,000万円の利益が出ていたので、5億円以上の預金があったが、現在は預金も1億円まで減少している。現時点で、銀行から2億円の借入があるので、差引き1億円の負債が残る。
社長の財産はマンションだけであるが、担保が付いている。


■相談点
自分は兄の会社で実務を担当していたので、経営にはノータッチだった。先月、入院中の兄の代わりに経理担当者から「会社の資金が足りない!」との報告を受けた。知人に相談したところ、保証人になっていないのであれば、借金を背負わされる前に社員を連れて会社を離れるべきだと忠告を受けた。
兄に住む家を残し、社員を連れて起業するにはどうしたら良いか?


■アドバイス
会社は廃業の方向で進めていくが、廃業すると1億円の借金が残ってしまいその担保として、銀行にマンションが取られてしまう。社長のマンションはあなたが買うか、親戚の人に買ってもらい担保を外す。
担保が外れれば、所有名義はお兄さんである社長ではなくなるが、そのまま家族で住み続けることができるので、しばらくは身内の名義のまま住み続ける。
お兄さんの会社の事業を引き継いで新会社を立ち上げるにも資金が必要になるので、現在の会社の預金1億円を新会社立ち上げの資本金に使うことができるよう事を進めるべきである。


■目的とする成果
1.相談者である弟の第二会社での事業資金の確保
2.社長である兄の自宅を守る
この2点である。

1.相談者である弟の第二会社での事業資金の確保
弟が銀行借入の保証人になっていないために、新しい会社を設立して事業を行う。現在の会社は廃業する。
現在の会社の所有不動産は処分して借入の返済に充当する。弟の退職金は現在の会社の所有現金にて支払い、そのお金を弟の新しい会社の資本金とする。
兄の会社の廃業により返済しきれなかった借入金は、保証協会とサービサーへ移ってから個人の債務保証責任としての交渉となる。

2.社長である兄の自宅を守る
兄の自宅は、身内や親戚が現在の借入金残額を支払い、担保を外す。しばらくは、身内の名義のまま住み続ける。この資金は現在の会社の資金から簿外へ出す方法を考える。







vol.28以前のコラムは、日税ビジネスサービスのホームページにて、「日税メールステーション」バックナンバーページに掲載しています。
日税メールステーション 『金融機関交渉Q&A』バックナンバー


松本 光輝

株式会社事業パートナー 代表取締役40年にわたり、飲食業を中心に会社経営。バブル崩壊時に25億円の負債を抱え、その後3年半でその負債を解消する。2003年より、事業再生請負人として全国行脚中。この間、依頼先の多くが1~2ヶ月以内に、資金ショートに陥るおそれがあるという危機的状況の中から、1社も倒産させることなく、300社を優に越える会社の再生を成功させる。
◎過去の経験を活かして、中小企業経営者の最高の相談者となるべく、活動を続けている。
◎経営者はもとより、幹部社員の皆様・社員の皆様の声をくみ上げ、共に全社一丸となった再生を達成すべく、全力で取り組んでいる。着手後、30日以内に再生計画を作成して、実行に移している。
◎会社を3年かけて再生させる独自の再生術は、他に類を見ません。