Mizuho Short Industry Focus 175号
短中期原油価格見通し ~世界の石油需給動向と 2024 年迄の原油価格見通し~
2019年10月23日 発行
【要約】
◆2019 年の原油価格は、年初からの上昇基調が 4 月頃に頭打ちとなり、6 月以降はもみ合いの推移となった。9 月中旬のサウジアラビア石油関連施設攻撃後、原油価格は供給の逼迫と地政学リスクへの懸念から一時急騰したが、その後影響は一服し、足下で WTI 価格が$50/bbl 台前半、Brent 価格が$50/bbl 台後半で推移している。
◆今後の短期的な石油需給バランスは、米国産石油の生産拡大継続を背景に、2020 年に供給超過となる見通しである。原油価格は、需給の緩和を背景に 2019 年平均対比下落し、2020 年平均で WTI 価格が$54.7/bbl、Brent 価格が$59.8/bbl と予測する。
◆中期的には、アジアを中心とする石油需要の拡大を支え得る供給を確保する必要があり、供給量の観点からサウジアラビアや米国の動向が重要となる。サウジアラビアは財政均衡油価と需給バランスを踏まえた供給量決定を行うと考えられ、米国の供給増にはシェールオイルの生産増が可能な価格水準となることが必要となる。原油価格は需給の引き締まりを背景に中期的に上昇する見通しで、2024 年平均の WTI 価格は$72.6/bbl、Brent 価格は$76.5/bbl と予測する(【図表 1】)。
※本記事は、みずほ銀行より掲載許可をいただき、同行ホームページで公開されている記事を転載したものです。
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