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COLUMN

2019.12.19企業再生・経営

金融機関交渉Q&A vol.47

  • 資金繰り

本コラムは、当社「日税主催研修」「日税オンデマンド」でも講師としてご活躍いただいている(株)事業パートナーの代表取締役社長・松本光輝先生に、300社を超える会社の再生の成功体験をもとに、金融機関交渉に関してQ&A形式でまとめて頂きました。この情報が関与先様へのアドバイスの一助となれば幸いです。



■現状
●業種:不動産賃貸業(テナントビル経営)
●土地所有者:A氏個人
●建物所有者及び運営会社:S法人
●不動産時価(土地と建物):4億円
●家賃収入:5,000万円/年
●テナント数:大小合わせて10社
●S法人の借入金残:B銀行2.5億円
●S法人のテナントからの保証金:
 D社:2億円(退去済)②E社:5,000万円(退去済)③その他:2,000万円
●A氏及びS法人の不動産についている抵当権(共同担保):
 1番抵当  B銀行  根抵当   4.5億円
 2番抵当  D社  普通抵当  2.8億円
 3番抵当  D社  普通抵当  3,000万円
●消費税、源泉税の滞納金:400万円
●S法人からA氏への賃料支払い:1,200万円/年

メインのテナント2社が退去した。
しかし、退去時に預かり保証金2.5億円(D社:2億円、E社:5,000万円)を資金不足のために支払えなかった。
現在は毎月D社へ50万円を分割返済(E社には支払っていない)している。
しかし、残金はほとんど残っていない。
B銀行からの借入金は現在、元利込みで毎月100万円を返済している。



■相談点
経営者は、建物と土地を手放しても構わないと言っている。
息子が心配なので、今後の生活に支障を来たさないようにする方法はないか?



■アドバイス
D社の債務2億円を一括払い、1億円で和解交渉。
1億円和解の根拠は、時価4億円の不動産の競売価格(D社が競売申請したとすると)
4億円×0.9=3.6億円⇒3.6億円-2.5億円(1番抵当分)=1.1億円
これで、D社からの債務は1億円の圧縮となる。
この1億円の原資はB銀行からの借入。
不動産時価4億円×0.9=3.6億円⇒3.6億円-2.5億円(現在の借入残)=1.1億円
つまり、銀行としては保全の範囲内である。
合計3.5億円は25年返済。年間1,400万円となる。
キャッシュフロー
1,000万円(当期利益)+600万円(減価償却費)=1,600万円
を返済原資とする。






vol.28以前のコラムは、日税ビジネスサービスのホームページにて、「日税メールステーション」バックナンバーページに掲載しています。
日税メールステーション 『金融機関交渉Q&A』バックナンバー


松本 光輝

株式会社事業パートナー 代表取締役40年にわたり、飲食業を中心に会社経営。バブル崩壊時に25億円の負債を抱え、その後3年半でその負債を解消する。2003年より、事業再生請負人として全国行脚中。この間、依頼先の多くが1~2ヶ月以内に、資金ショートに陥るおそれがあるという危機的状況の中から、1社も倒産させることなく、300社を優に越える会社の再生を成功させる。
◎過去の経験を活かして、中小企業経営者の最高の相談者となるべく、活動を続けている。
◎経営者はもとより、幹部社員の皆様・社員の皆様の声をくみ上げ、共に全社一丸となった再生を達成すべく、全力で取り組んでいる。着手後、30日以内に再生計画を作成して、実行に移している。
◎会社を3年かけて再生させる独自の再生術は、他に類を見ません。