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COLUMN

2019.11.11産業情報

加速する株主アクティビズムと日本企業がとるべき対応

  • Mizuho Industry Focus
  • 経済情報

Mizuho Industry Focus vol.219
加速する株主アクティビズムと日本企業がとるべき対応

2019年9月26日 発行

〈要約〉

○日本において初めて株主アクティビズムが注目を集めたのは 2000 年代初頭であり、その契機となったのは、村上ファンドが行った、昭栄への日本初の敵対的 TOB である。同時期に、海外ヘッジファンドも日本市場に参入し、敵対的 TOB や MBO 提案等を活用しながら積極的な株主アクティビズムを行った。しかし、強圧的な投資手法は経済界や世論から受け入れられず、世界的な金融危機(リーマンショック)とその後の景気後退による資金力の低下もあり、企業に対する影響力を失った株主アクティビズムは、その後、沈静化することとなった。


○一方、2010 年代半ば頃から、米国を中心とした株主アクティビズムは新たな潮流となって再びその勢いを取り戻しつつある。2000 年代とは異なり、強圧的な手法ではなく、中長期的な企業価値向上に資する提案を行うようになったアクティビストは、機関投資家の賛同を募り、自身の保有する議決権をレバレッジすることで企業への影響力を高めるようになった。このようなアクティビストの変容により、大企業でさえも株主アクティビズムの対象になることとなった。


○こうした株主アクティビズムの新潮流は、今後日本においても加速する可能性がある。コーポレートガバナンス改革における一連の施策により、これまで安定株主として位置付けられてきた企業間の株式の政策保有には強い縮減圧力がかかる一方で、物言わぬ株主とされてきた機関投資家は議決権行使を厳格化させつつある。「議決権レバレッジ」が行いやすくなる日本の環境変化を受けて、変容したアクティビストが日本においてその活動を活発化させる可能性はますます高まってきている。


○株主アクティビズムは、多くの日本企業にとって、既に対岸の火事ではなくなっており、自らの問題として捉え直し、正面から向き合うことが求められるステージに入りつつあると考えられる。日本企業には未だ企業価値向上の余地が多く残されており、株主アクティビズムの有無に関わらず、自己評価に満足することなく、株主の視点から自らを律する必要があり、中長期的な企業価値向上を目指し、真摯に、包括的に施策を定め、実行することが求められている。




・・・内容はPDFをご覧ください。

みずほ銀行 産業調査部

※本記事は、みずほ銀行より掲載許可をいただき、同行ホームページで公開されている記事を転載したものです。
https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/index.html