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COLUMN

2019.10.29税務コンサルのポイント

[別表四]各論編⑨~退職給与~

  • 富裕層コンサルのイロハ
  • 法人税

十七 役員給与
5 退職給与
(間違えやすい事例)
○役員の分掌変更又は改選による再任等退職の事実がない場合において支給した役員退職金は、損金算入を否認すべきであるのに、これを認めているもの。
(注)常勤役員が非常勤役員(代表権を有する者等は除く。)になったこと、その分掌変更後における報酬の額が激減(おおむね50%以上の減少)したこと等、実質的に退職したと同様の事情にあると認められる場合は除かれます。
なお、退職給与として支給した給与には法人が未払金等に計上した場合は含まれないこととされました(基通9-2-32)。
☆○確定給付企業年金等の掛金等は実際に支出をした日の属する事業年度の損金に算入され、未払部分については、たとえその未払部分に係る期間を経過していても損金に算入することはできません(令135、基通9-3-1)。
○出向元法人が適格退職年金契約を締結している場合、出向先法人があらかじめ定められた負担区分に基づき支出するその出向者に係る掛金等の額は、実際に支出した年度の損金に算入されるのに未払金として計上した法人計算をそのまま認めているもの(基通9-2-51)。
○使用人が役員となった場合において、使用人であった期間に係る退職給与を支給するときは、その支給をした日の属する事業年度の損金の額に算入するとことになっているのに、未払金として計上した法人計算をそのまま認めているもの(基通9-2-36)。
○出向者が出向元法人を退職した場合において、出向先法人がその退職した出向者に対して出向元法人が支給する退職給与の額のうちその出向期間に係る部分の金額を出向元法人に支出したときは、その支出した額は、たとえ当該出向者が出向先法人において引き続き役員又は使用人として勤務するときであっても、その支出をした日の属する事業年度の損金の額に算入するのに、退職していないとして否認しているもの(基通9-2-49)。


(参考)
平成28年度税制改正により、役員給与の損金不算入について次の点が改正されました。
1 事前確定届出給与について、一定の要件を満たす特定譲渡制限付株式及びその特定譲渡 制限付株式に係る承継譲渡制限付株式による給与は、納税地の所轄税務署長への届出が不要とされました(法34①二)。
2 利益連動給与の算定の基礎となる利益の状況を示す指標が、利益の額、利益の額に有価証券報告書に記載されるべき事項による調整を加えた指標その他の利益に関する指標であることについて、規定の明確化が行われました(法34①二・三イ、令69⑧)。
【適用関係】
平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用され、同日前に開始した事業年度分の法人税については、従前のとおりとなります(平28法附則21)。





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伊藤 俊一

税理士
伊藤俊一税理士事務所 代表税理士。
1978年(昭和53年)愛知県生まれ。税理士試験5科目合格。
一橋大学大学院修士。都内コンサルティング会社にて某メガバンク案件に係る事業承継・少数株主からの株式集約(中小企業の資本政策)・相続税・地主様の土地有効活用コンサルティングは勤務時代から通算すると数百件のスキーム立案実行を経験。現在、厚生労働省ファイナンシャル・プランニング技能検定試験委員。
現在、一橋大学大学院国際企業戦略研究科博士課程(専攻:租税法)在学中。信託法学会所属。