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COLUMN

2019.08.15税務コンサルのポイント

[別表四]各論編⑤~外貨建取引、売上割戻し・仕入割戻し~

  • 富裕層コンサルのイロハ
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五 外貨建取引
(間違えやすい事例)
○輸入商品の円換算額を不適正な社内レートにより行っている法人計算をそのまま認めてているもの(法61の8、基通13の2-1-2(注)2)。

○営業外損益に計上した為替差損を輸入商品の取得価額を構成するとしてその取得価額に加算しているもの(基通13の2-1-9)。

○前渡金又は前受金で資産の売買代金に充てられるものは、外貨建債権債務には含まれないとととされているのに、これについて期末換算を行っているもの(基通13の2-2-1)。

○外貨建債権で既にその支払期限を経過したものは、短期外貨建債権に該当しないのに、これについて短期外貨建債権として期末時換算を行っているもの(基通13の2-2-12)。

○外貨建資産等の換算方法は、選定の届出をし、又は変更の承認を受けた換算方法(選定しなかった場合は法定換算方法)によることになっているのに、法人が異なる方法により行った換算をそのまま認めているもの(法61の9、令122の4、122の5、122の6、122の7)。なお、内国法人がその選定をしている換算方法によらなかった場合には、法定換算方法によるものではなく、その選定している換算方法を適用することとされました(法61の9①)。

○当初、長期の外貨建債権債務であったものが、当期末に短期の外貨建債権債務となる場合には、当期末の換算に当たっては、短期の債権債務に係る換算を行うこととなるのに、それによっていないもの(令122の4)。

○外国銀行の内部利子の否認額の円換算は費用計上日又は満期日のTTMレートによるべきであるにもかかわらず年間平均TTMレートを適用しているもの。

○短期外貨建債務について発生時換算法を採用している法人において、手形借入による短期外貨建債務を手形期日の書換えによる返済期限の延長を行っている場合に、当該書換え時に旧債務の消滅及び新債務の発生があったものとして為替差損益を計上している法人計算をそのまま認めているもの
(注)単なる返済期限の延長は、民法上債務の消減となりません。

☆○外貨建取引に係る否認をした場合において、否認すべき金額は原則として取引日における為替レートにより換算すべきであるのに、合理的な理由もなく取引日以外の換算レートにより否認金額を計算しているもの。

☆○否認された金銭債権債務等が短期外貨建債権債務に該当し、法人が期末時換算法の適用を受けているにもかかわらず、期末の換算レートによる換算差損益に係る更正を行っていないもの。


六 売上割戻し・仕入割戻し
(間違えやすい事例)
○事業年度終了の日までに売上割戻しを支私うこと及びその売上割戻しの算定基準が内部的に決定されている場合において、その基準により算定した金額を未払金として計上するとともに確定申告書の提出期限までに相手方に通知したときは、継続適用を条件として認めることとされているのに、これを否認しているもの(基通2-5-1(2))。

○契約その他の方法により、予め算定基準が明示されていない仕入割戻しは、その割戻しの通知を受けた日を含む事業年度の益金の額に計上すべきであるのに、仕入時に益金の額に算入すべきものとして否認しているもの(基通2-5-4(2))。

○一定期間支払わない売上割戻し(基通2-5-2)に対応する仕入割戻しについては、現実に支払を受けた日の属する事業年度の仕入割戻しとして取扱うこととされているにもかかわらず、算定基準が購入価額等によっており、かつ、契約その他の方法により明示されていることから、購入した日の属する事業年度で計上すべきであるとして否認しているもの(基通2-5-5)。

○法人が計上しなかった仕入割戻しは、総仕入高から控除しないで益金の額に算入することとなっているにもかかわらず、総仕入高から控除し棚卸資産の過大計上として認容しているもの(基通2-5-6)。




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伊藤 俊一

税理士
伊藤俊一税理士事務所 代表税理士。
1978年(昭和53年)愛知県生まれ。税理士試験5科目合格。
一橋大学大学院修士。都内コンサルティング会社にて某メガバンク案件に係る事業承継・少数株主からの株式集約(中小企業の資本政策)・相続税・地主様の土地有効活用コンサルティングは勤務時代から通算すると数百件のスキーム立案実行を経験。現在、厚生労働省ファイナンシャル・プランニング技能検定試験委員。
現在、一橋大学大学院国際企業戦略研究科博士課程(専攻:租税法)在学中。信託法学会所属。