三 有価証券
(間違えやすい事例)
○法人の届出に係る評価方法は総平均法であるにもかかわらず、移動平均法によって否認しているもの(令119の2、119の5、119の7)。
○法人の届出に係る評価方法は総平均法であり、期首より所有していた株式を全株期中に売却し、その後に購入した同じ銘柄の株式について購入価額で期末評価している法人計算をそのまま認めているもの(令119の2①二)。
○株式の併合が行われた場合に付替え計算を行わず、併合により減少した株数に相当する価額を評価損として許上しているもの。
○上場有価証券以外の株式で、その株式を発行する法人の資産状態が著しく悪化した事実がないにもかかわらず、評価損の計上を行っているもの。
☆○売買目的外有価証券について、評価損を計上できる事実がないのに期末時価で評価しているもの。
○満期保有目的の有価証券(償還期間・償通金額の定めのあるもの)について、償却原価法に基づいて期末評価をしていないもの。
○その他有価証券を会計上、時価評価し、その評価差額を損失として計上している場合に、当該評価差額(損失)について申告加算していないもの。
○損金経理していないその他有価証据の評価差額に係る繰延税金負債の額を誤って加算しているもの。
○全部純資産直入法による有価証券評価差額は、会計上損益とされていないのに、誤って申告調整しているもの。
○平成18年4月1日前に購入した自己株式については、その購入のために要した費用は取得価額に加算することとなるが、当該費用を営業外費用等により損金処理している法人の処理をそのまま認めているもの(旧令119①一)。
○平成18年4月1日前に取得した自己株式について申告加算していた手数料等の付随費用は、当該株式の譲渡時においても資本金等の額の減算項目として留保すべきであるのに、申告減算しているもの(平18令附則4①)。
○平成18年4月1日以後に自己の株式購入のために要した費用は損金の額に算入されることとなるのに、申告加算している法人の処理をそのまま認めているもの(法2二十一、令8①十九)。
○退職給付信託をしている有価証券と種類・銘柄を同じくする有価証券を有している場合、当該信託に係る有価証券と法人が有する有価証券とを区分して、一単位当たりの帳簿価額を算出することができることとされているのに、簿価通算をして更正しようとしているもの(基通2-3-16)。
○同一の法人の発行する一の種類の株式と他の種類の株式とを保有する場合、これらの株式が同一の価額で取引が行われるものとは認められないのに同一の銘柄として一単位当たりの帳簿価額を計算しているもの(基通2-3-17)。
四 デリバティブ取引・ヘッジ処理
(間違えやすい事例)
○法人が繰延ヘッジの手段としたデリバティブ取引等に係る時価評価損益を繰り延べているのに、ヘッジ処理の有効性判定を行わずに、デリバティブ取引等であることのみをもって繰延処理を否認しているもの(法61の6①、令121①)。
(注)ヘッジ処理として有効性判定の割合が80%から125%の範囲内であればヘッジ手段のデリバティブ取引等の時価評価損益の繰延処理は認められることとなります(令121の2)。
○オプションを取得した場合に支払うオプション料の額は前渡金として処理しオプションを売卸した場合等に支私を受けるオプション料の額は前受金として処理することとなるのに、支払時の損金としている法人の処理をそのまま認めているもの。
(注)オプション料は、行使時の損金又は益金とされますが、デリバティブ取引に該当するオプションそのものは、期末時までに行使期限が未到来である場合には、法人税法第61条の6の適用を受けるヘッジ処理のために行ったオプション取引である場合を除き、みなし決済損益を計上します(法61の5①、法61の6①)。
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税理士
伊藤俊一税理士事務所 代表税理士。
1978年(昭和53年)愛知県生まれ。税理士試験5科目合格。一橋大学大学院修士。都内コンサルティング会社にて某メガバンク案件に係る事業承継・少数株主からの株式集約(中小企業の資本政策)・相続税・地主様の土地有効活用コンサルティングは勤務時代から通算すると数百件のスキーム立案実行を経験。現在、厚生労働省ファイナンシャル・プランニング技能検定試験委員。
現在、一橋大学大学院国際企業戦略研究科博士課程(専攻:租税法)在学中。信託法学会所属。